奈良県公立高校入試 令和6(2024)年度(特色) 解答&解説

大問1

(1) 次のを計算せよ。

\( 3-(-2) \)

【解答】
\( 5 \)
【解説】
\( =3+2 \)
\( =5 \)

 

\( 2(x-y)-4x-y \)

【解答】
\( -2x-3y \)
【解説】
\( =2x-2y-4x-y \)
\( =-2x-3y \)

 

\( 4a^3b^2 \div 2ab \)

【解答】
\( 2a^2b \)
【解説】
\( =\dfrac{4a^3b^2}{2ab} \)
\( =2a^2b \)

 

\( (x+2)^2+x-7 \)

【解答】
\( x^2+5x-3 \)
【解説】
\( =x^2+4x+4+x-7 \)
\( =x^2+5x-3 \)

 

\( \sqrt{18}+2\sqrt{2} \)

【解答】
\( 5\sqrt{2} \)
【解説】
\( =3\sqrt{2}+2\sqrt{2} \)
\( =5\sqrt{2} \)

 

(2) 2次方程式 \( x^2+5x+6=0 \) を解け。

【解答】
\( x=-2,-3 \)
【解説】
\( (x+2)(x+3)=0 \)
       \( x=-2,-3 \)

 

(3) \( a=-2 \) のとき,次のア~オのうちで,式の値が最も大きくなるものを1つ選び,その記号を書け。

 \( -a \)    \( a^2 \)    \( \dfrac{1}{a} \)    \( -\dfrac{1}{a} \)    \( \dfrac{1}{a^2} \)

【解答】
 \( a^2 \)
【解説】
\( a=-2 \) を代入すると,
  \( -a=-(-2)=2 \)
  \( a^2=(-2)^2=4 \)
  \( \dfrac{1}{a}=\dfrac{1}{-2}=-\dfrac{1}{2} \)
  \( -\dfrac{1}{a}=-\dfrac{1}{-2}=\dfrac{1}{2} \)
  \( \dfrac{1}{a^2}=\dfrac{1}{(-2)^2}=\dfrac{1}{4} \)
なので,最も大きいのは になります。

 

(4) 図1のように,\( 1,2,3,4,5 \) の数を書いたカードがそれぞれ1枚ずつある。この5枚のカードをよくきってから,2枚同時にカードをひく。このとき,ひいた2枚のカードに書かれた数の積が奇数である確率を求めよ。

【解答】
\( \dfrac{3}{10} \)
【解説】
同時に2枚ひくので,\( 1 \) のカードと \( 2 \) のカードをひくことと\( 2 \) のカードと \( 1 \) のカードをひくことは
1通りとして数えることに注意して2枚のカードの組み合わせとその積を樹形図に書き出してみます。

積が奇数になる組み合わせは \( 3 \) 通り,すべての組み合わせは \( 10 \) 通りなので,
求める確率は \( \dfrac{3}{10} \)

 

(5) 図2は,\( AB=4 \; cm,AD=2 \; cm \),\( AE=3 \; cm \) の直方体である。この直方体の対角線 \( AG \) の長さを求めよ。

【解答】
\( AG=\sqrt{29} \; cm \)

【解説】

直方体の向かい合う辺の長さは等しいので,
 \( EF=AB=4 \; cm,FG=AD=2 \; cm \)
であり,
\( △EFG \) において,三平方の定理より,
 \( EG^2=4^2+2^2=20 \)
\( △AEG \) において,三平方の定理より,
 \( AG^2=AE^2+EG^2 \)
    \( =3^2+20=29 \)
  \( AG=\sqrt{29} \; (cm) \)

 

(6) 図3で,4点 \( A,B,C,D \) は円 \( O \) の周上にある。\( ∠x \) の大きさを求めよ。

【解答】
\( ∠x=35° \)

【解説】

 \( \stackrel{\huge\frown}{ BC } \) に対する円周角なので,
 \( ∠BAC=∠BDC=75° \)

線分 \( AC \) と線分 \( BD \) の交点を
\( E \) とすると,
\( ∠BEC \) は \( △ABE \) の外角なので,
 \( ∠x=∠BEC-∠BAC=35° \)

 

(7) 図4のように,直線 \( ℓ \) と2点 \( A,B \) がある。直線 \( ℓ \) 上にあり,2点 \( A,B \) から等しい距離にある点 \( P \) を,定規とコンパスを使って解答欄の枠内に作図せよ。なお,作図に使った線は消さずに残しておくこと。

【解答】

手順1 2点 \( A,B \) を中心に円弧を描く。
(交点を \( C,D \)とします。)
手順2 2点 \( C,D \) を通る直線を描く。

直線 \( ℓ \) と手順2の直線の交点が
求める点 \( P \) になります。

【解説】
2点 \( A,B \) からの距離が等しくなる点は必ず2点 \( A,B \) の垂直二等分線上の点になります。

垂直二等分線上の点である理由

2点 \( A,B \) からの距離が等しい点を2つとり,
点 \( P,Q \) とすると,
\( △APQ \) と \( △BPQ \) において,
\( AP=BP,AQ=BQ,PQ \) は共通
より,3組の辺がそれぞれ等しいので,
\( △APQ≡△BPQ \)
対応する角は等しいので,\( ∠APQ=∠BPQ \)

\( △ABP \) は二等辺三角形なので,
底角は等しく,\( ∠PAB=∠PBA \)

直線 \( AB \) と直線 \( PQ \) の交点を点 \( M \) とすると,
\( △APM \) と \( △BPM \) において,
\( AP=BP,∠APM=∠BPM,∠PAM=∠PBM \)
より,1組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので,
\( △APM≡△BPM \)
対応する辺は等しいので,\( AM=BM \) ・・・ ➀
対応する角は等しいので,\( ∠AMP=∠BMP \)

3点 \( A,M,B \) は一直線上の点なので,
\( ∠AMP=\dfrac{1}{2}∠AMB=90° \) ・・・ ➁

➀➁より,
直線 \( PQ \) は2点 \( A,B \) の垂直二等分線なので,
2点 \( A,B \) からの距離が等しくなる点は
必ず2点 \( A,B \) の垂直二等分線上の点であるといえます。

 

(8) 右の表は,ある中学校の3年生全生徒を対象に,通学時間を調査し,その結果をまとめたものである。この表から読み取ることができることがらとして適切なものを,次のから全て選び,その記号を書け。

   通学時間が \( 50 \) 分以上の生徒の人数は,通学時間が \( 30 \) 分未満の生徒の人数の2倍である。
   通学時間の最頻値(モード)は,\( 30 \) 分である。
   階級の幅は,\( 60 \) 分である。
   通学時間が \( 20 \) 分未満の生徒の累積相対度数は,\( 0.20 \) である。
   生徒Aの通学時間は,\( 28 \) 分であった。生徒Aの通学時間は,3年生全生徒の通学時間の
    中央値(メジアン)よりも小さい。

【解答】

【解説】
 累積相対度数は,
   求める階級の累積度数 \(  \div  \) すべての階級の度数の合計
  で求めることができるので,
  \( 10 \) 分以上 \( 20 \) 分未満の階級の累積相対度数は,
   \( 8 \div 40=0.20 \)

 全部で \( 40 \) 人分のデータを集計しているので,
  中央値は,通学時間の短い方から \( 20 \) 番目と \( 21 \) 番目の人の平均値になります。
   \( 20 \) 分以上 \( 30 \) 分未満の階級の累積度数は \( 18 \) 人,
   \( 30 \) 分以上 \( 40 \) 分未満の階級の累積度数は \( 33 \) 人
  なので,\( 20 \) 番目と \( 21 \) 番目の人の値は \( 30 \) 分以上 \( 40 \) 分未満の階級に含まれています。
  つまり,中央値は \( 30 \) 分以上 \( 40 \) 分未満の値になるので,
  生徒Aの通学時間 \( 28 \) 分は,全生徒の通学時間の中央値(メジアン)よりも小さい。

【適切ではない理由】
 通学時間が \( 50 \) 分以上の生徒の人数は \( 4 \) 人,通学時間が \( 30 \) 分未満の生徒の人数は \( 18 \) 人
  なので, \( 4 \div 18=0.22 \) 倍

 最頻値とは,度数が最も大きい階級の階級値(その階級の真ん中の値)のことです。
  最頻値をとる階級は \( 30 \) 分以上 \( 40 \) 分未満で,階級値は \( 35 \) 分になるので,
  最頻値は \( 35 \) 分になります。

 階級の幅とは階級のもっとも大きい値から最も小さい値を引いた値のことです。
  各階級は,\( 10 \) 分以上 \( 20 \) 分未満などなので,
  階級の幅は,\( 20-10=10 \) 分になります。

 

大問2

右の図で,\( △ABC \) は \( AB=AC,∠BAC=90° \) の直角二等辺三角形である。点 \( D \) は辺 \( AC \) 上の点,点 \( E \) は線分 \( BD \) 上の点であり,\( ∠AED=90° \) である。
各問いに答えよ。

(1) \( △ABD \) ∽ \( △EAD \) を証明せよ。

【解答】

\( △ABD \) と \( △EAD \) において,
仮定より,\( ∠BAD=90°,∠AED=90° \)
なので,
 \( ∠BAD=∠AED \) ・・・ ➀
共通な角なので,
 \( ∠ADB=∠EDA \) ・・・ ➁
➀➁より,2組の角がそれぞれ等しいので,
 \( △ABD \) ∽ \( △EAD \)

 

(2) \( ∠EAD=a^\circ \) とするとき,\( ∠DBC \) の大きさを \( a \) を用いて表せ。

【解答】
\( 45^\circ-a^\circ \)
【解説】

(1)より, \( ∠ABD=∠EAD=a^\circ \)
\( △ABC \) は直角二等辺三角形なので,
\( ∠ABC=45^\circ \)
よって,
\( ∠DBC=∠ABC-∠ABD=45^\circ-a^\circ \)

 

(3) 点 \( D \) が辺 \( AC \) の中点であるとき,\( △AED \) の面積は \( △ABC \) の面積の何倍か。

【解答】
\( \dfrac{1}{10} \) 倍
【解説】

\( AD=x \) とすると,\( AB=AC=2x \)
\( △ABD \) において,三平方の定理より,
 \( BD^2=x^2+(2x)^2=5x^2 \)
  \( BD=\sqrt{5}x \)

(1)より,\( △ABD \) ∽ \( △EAD \) なので,
 \( AD:ED=BD:AD \)
   \( x:ED=\sqrt{5}x:x \)
    \( ED=\dfrac{x}{\sqrt{5}} \)

 \( AB:EA=BD:AD \)
  \( 2x:EA=\sqrt{5}x:x \)
    \( EA=\dfrac{2}{\sqrt{5}}x \)

\( △AED \) の面積は,
 \( △AED=\dfrac{x}{\sqrt{5}} \times \dfrac{2}{\sqrt{5}}x \times \dfrac{1}{2}=\dfrac{x^2}{5} \)
\( △ABC \) の面積は,
 \( △ABC=2x \times 2x \times \dfrac{1}{2}=2x^2 \)
なので,
 \( △AED:△ABC=\dfrac{x^2}{5}:2x^2=1:10 \)
つまり,\( △AED \) の面積は \( △ABC \) の面積の \( \dfrac{1}{10} \) 倍になります。

 

大問3

右の図で,直線  は関数 \( y=-\dfrac{1}{2}x+3 \) のグラフであり,点 \( A \) は直線  と \( y \) 軸との交点である。また,点 \( B \) の座標は \( (-2,4) \),点 \( C \) の座標は \( (-4,3) \) である。 原点を \( O \) として,各問いに答えよ。

(1) 直線 \( ℓ \) 上にあって,\( x \) 座標,\( y \) 座標がともに正の整数である点は何個あるか。

【解答】
\( 2 \) 個
【解説】
「正の整数」なので,\( 0 \) は含まないことに注意して考えていきます。

直線 \( ℓ \) と \( x \) 軸の交点を \( D \) とすると,
点 \( D \) の \( x \) 座標は,
 \( 0=-\dfrac{1}{2}x+3 \)
 \( x=6 \)
なので,
\( x \) 座標,\( y \) 座標がともに正の整数になり得るのは
\( 0<x≦6 \) の範囲です。

この中で,\( y \) 座標が正の整数になり得るのは,
\( x \) の値が偶数(2の倍数)になるときです。
ただし,\( x=6 \) のときは,
 \( y=-\dfrac{1}{2} \times 6+3=0 \)
となり,正の整数ではありません。

よって,\( x \) 座標,\( y \) 座標がともに正の整数になるのは,\( x=2 \) と \( x=4 \) のときの2個になります。

 

(2) 2点 \( B,C \) を通る直線の式を求めよ。

【解答】
\( y=\dfrac{1}{2}x+5 \)
【解説】

求める直線の式を \( y=ax+b \) とすると,
 傾き \( a=\dfrac{4-3}{-2-(-4)}=\dfrac{1}{2} \)
なので,\( y=\dfrac{1}{2}x+b \) に \( x=-2,y=4 \) を
代入すると,
 \( 4=\dfrac{1}{2} \times (-2)+b \)
 \( b=5 \)

よって,この直線の式は \( y=\dfrac{1}{2}x+5 \)

 

(3) 直線 \( OC \) 上に点 \( P \) を,四角形 \( OABC \) の面積と \( △BCP \) の面積が等しくなるようにとる。このとき,点 \( P \) の座標を求めよ。ただし,点 \( P \) の \( x \) 座標は正の数とする。

【解答】
\( P \left( \dfrac{12}{5},-\dfrac{9}{5} \right) \)
【解説】

【点 \( P \) はどんな位置にあればいい?】
四角形 \( OABC \) と \( △BCP \) は,
\( △OBC \) の部分が共通なので,
\( △OAB \) と \( △OPB \) の面積が等しいとき,
四角形 \( OABC \) と \( △BCP \) の面積は等しく
なります。

\( △OAB \) と \( △OPB \) は辺 \( OB \) が共通なので,
等積変形の考え方から,\( AP//OB \) となるとき,
\( △OAB \) と \( △OPB \) の面積は等しくなります。

以上より,点 \( P \) は,点 \( A \) を通り,\( OB \) と平行な直線と直線 \( OC \) の交点になります。

【点 \( P \) の座標を求める】
\( OB \) は,原点と \( B(-2,4) \) を通るので,
傾きは \( -2 \) であり,
直線 \( AP \) の傾きも \( -2 \) になります。
また,点 \( A \) は,
直線 :\( y=-\dfrac{1}{2}x+3 \) の切片になので,
点 \( A \) の座標は,\( A(0,3) \)
ここから,直線 \( AP \) の式は \( y=-2x+3 \)

直線 \( OC \) は,原点と \( C(-4,3) \) を通るので,
直線 \( OC \) の式は \( y=-\dfrac{3}{4}x \)

これら2直線の交点の座標は連立方程式の解として表れるので,
 \( -\dfrac{3}{4}x=-2x+3 \)
  \( -3x=-8x+12 \)
   \( 5x=12 \)
   \( x=\dfrac{12}{5} \)
\( y=-\dfrac{3}{4}x \) に代入すると,
 \( y=-\dfrac{3}{4} \times \dfrac{12}{5}=-\dfrac{9}{5} \)