二次方程式の問題を解くとき,因数分解できなかったら解の公式を使って解くことになります。
でも,長いし,ルート(√ )の中は \(b^2-4ac\) とかなってるし,±もあるし ・・・
中学数学3年間の中で 🏆 つまづきやすい公式 No.1 🏆 です。
でも、心配しなくて大丈夫!
解の公式を忘れても二次方程式は解けます‼
その理由は、解の公式が 平方完成 という方法で方程式を解いた結果だからです。
結果だけ覚えるのではなく、その過程を知っていれば自分で求めることができます。
平方完成って何?
平方完成とは,
二次方程式 \(ax^2+bx+c=0\) を \(a(x+p)^2+q=0\) の形に変形することです。
はぁ⁉、意味わからん ・・・ ってなると思いますが、実は知らないうちに使っています。
一番簡単な例は,”\(x^2+2x+1=0\) を解きなさい。” の場合です。
ほとんどの人は,因数分解して
\(x^2+2x+1=0\)
\((x+1)^2=0\)
\(x+1=0\)
\(\,x=-1\)
と解くと思います。
この \(x^2+2x+1=0\) を \((x+1)^2=0\) に変形するのが平方完成です。
実は,この形に変形できれば, ほぼすべての二次方程式は解けます。
平方完成のやり方
二次方程式 \(ax^2+bx+c=0\) を平方完成する手順は次のとおり。
-
- \(a\) で割る
- 1次の項(\(x\))の係数を \(2\:✕\:\dfrac{b}{2a}\) の形に書き換える
- \(\left(x+\dfrac{b}{2a}\right)^2\) を作る
- \(\left(\dfrac{b}{2a}\right)^2\)を引く
これで,平方完成ができます。
ここからは,それぞれの手順をもう少し詳しく見てみましょう。
手順1. \(a\) で割る
\(ax^2+bx+c=0\) を \(a\) で割ると,
\(ax^2+bx+c=0\)
\(x^2+\dfrac{b}{a}x+\dfrac{c}{a}=0\) ・・・①
手順2.1次の項(\(x\))の係数を \(2\:✕\:\dfrac{b}{2a}\) の形に書き換える
因数分解の公式 \(a^2+2ab+b^2=(a+b)^2\) を使うため,
一次の項の係数を \(2\:✕\:\dfrac{b}{2a}\) の形に書き換えます。
\(\,x^2\)+\(\cfrac{b}{a}\)\(x\)+\(\cfrac{c}{a}=0\)
\(x^2\)+\(\left(2\:✕\:\dfrac{b}{2a}\right)\)\(x\)+\(\dfrac{c}{a}=0\)
手順3.\(a\left(x+\dfrac{b}{2a}\right)^2\) を作る
因数分解の公式 \(\underline{a^2+2ab}+b^2=\underline{(a+b)^2}\) を使って,
強引に \(\left(x+\cfrac{b}{2a}\right)^2\) の形を作ります。
\(x^2+\left(2\:✕\:\cfrac{b}{2a}\right)x\)+\(\cfrac{c}{a}=0\)
\(\left(x+\cfrac{b}{2a}\right)^2\)+\(\cfrac{c}{a}=0\)
二次 \((x^2)\) と一次 \((x)\) の項の係数だけが成り立つように変形します。
手順4.\(\left(\dfrac{b}{2a}\right)^2\)を引く
手順3の形を展開すると,
\(\left(x+\cfrac{b}{2a}\right)^2\)+\(\cfrac{c}{a}=0\)
\( x^2+2 \times \cfrac{b}{2a} \times x+\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2\)+\(\cfrac{c}{a}=0\)
\(x^2+\cfrac{b}{2}x+\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2\)+\(\cfrac{c}{a}=0\) ・・・②
①と②を比較すると
\(x^2+\dfrac{b}{a}x+\dfrac{c}{a}=0\) ・・・①
\(x^2+\cfrac{b}{a}x\)+\(\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2\)+\(\cfrac{c}{a}=0\) ・・・②
と,+\(\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2\)が追加されてしまって方程式が成り立たなくなっていますので,
②から \(\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2\) を引くことで\(\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2\)は打ち消しあって0になるので,
\(\left(x+\cfrac{b}{2a}\right)^2\) \(-\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2\)+\(\cfrac{c}{a}=0\)
これで平方完成ができたので、この方程式を解いていきましょう。
方程式を解く
\(\left(x+\cfrac{b}{2a}\right)^2-\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2+\cfrac{c}{a}=0\)
\(\left(x+\cfrac{b}{2a}\right)^2=\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2-\cfrac{c}{a}\)
\(\left(x+\cfrac{b}{2a}\right)^2=\cfrac{b^2}{4a^2}-\cfrac{4ac}{4a^2}\)
\(\left(x+\cfrac{b}{2a}\right)^2=\cfrac{b^2-4ac}{4a^2}\)
\(x+\cfrac{b}{2a}=\cfrac{±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)
\(x=\cfrac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)
以上より,
であることが証明されました。
例題
\(2x^2+12x+1=0\)を平方完成を使って解いてみます。
\(2x^2+12x+1=0\)
\(x^2+6x+\cfrac{1}{2}=0\) ← 手順1.\(a\) で割る
\(x^2+2\times3x+\cfrac{1}{2}=0\) \(\,\) ← 手順2.1次の項(\(x\))の係数を \(2\:✕\:\cfrac{b}{2a}\) の形に書き換える
\(\;(x+3)^2+\cfrac{1}{2}=0\) \(\;\)← 手順3.\(a\left(x+\cfrac{b}{2a}\right)^2\) を作る
\((x+3)^2\)-9\(+\cfrac{1}{2}=0\) \(\:\)← 手順4.\(\left(\cfrac{b}{2a}\right)^2\)を引く
\((x+3)^2=\cfrac{17}{2}\)
\(x+3=±\sqrt{\cfrac{17}{2}}\)
\(=-3±\sqrt{\cfrac{17}{2}}\)
\(=-3±\cfrac{\sqrt{34}}{2}\)
ちなみに,解の公式で解くと・・・
\(x=\cfrac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)
\(=\cfrac{-12±\sqrt{12^2-4\times2\times1}}{2\times2}\)
\(=\cfrac{-12±\sqrt{136}}{4}\)
\(=\cfrac{-12±2\sqrt{34}}{4}\)
\(=\cfrac{-3±\sqrt{34}}{2}\)
まとめ
わかったこと
・解の公式は二次方程式 \(ax^2+bx+c=0\) を平方完成を使って解いた結果と等しい
・解の公式がわからなくなっても、平方完成の方法で2次方程式は解くことができる
数学はひたすら公式だけを覚えるだけだと何の面白みもないですが、1つ1つを理解しながら学べば、
パズルや謎解きに近い感覚になれる科目です。今回の例は,基本的な公式(平方の公式)を覚えているだけで
解けてしまう良い例だと思います。
特に数学が苦手な人ほど知っていてほしい知識です。