確率の問題の中で色付きの玉を取り出す問題は比較的よく出題されますが,さいころの場合と違って問題の出され方によって場合の数の求め方が異なり,間違えてしまうことが多い問題です。
ここでは,基本編として2個の玉を同時に取り出す問題と1回目に取り出した玉をもとに戻してから2回目を取り出す問題に分けて解説していきます。
【鉄則】すべての玉に名前をつけてあげる
赤玉4個,白玉1個の玉の中から赤玉をひく確率を考えてみます。
このとき,すべての場合の数は玉の総数なので5通りです。
起きる場合の数は赤玉の個数なので4通りです。
よって,赤玉をひく確率は
赤玉をひく確率=\(\dfrac{起きる場合の数}{すべての場合の数}=\dfrac{4}{5}\)
となります。
この玉を一列に並べてみると,一番左のものをひいても,左から
2番目でも3番目でも,一番右でもどれでも”赤玉をひいた”となり,
わかりにくいです。
そこで,わかりやすくするために ”赤1”,”赤2”などのように
名前をつけることで ”赤1をひいた”,”赤2をひいた”・・・
となり,わかりやすくなります。
特に,2個の玉をひく場合など,樹形図をつくるときにより効果を実感できます。
名前のつけ方に決まったルールはありませんので,ご自身でわかりやすい書き方を選んでください。
例1:赤をA,B,C,D,白をE,F とする
例2:赤を➀,➁,③,④,白を \(\fbox{1}\),\(\fbox{2}\) とする
例題1.同時に取り出した2個の玉の色が同じである確率
赤玉3個,白玉2個,青玉1個の合計6個の玉の中から2個を同時に取り出したとき,取り出した玉の色が同じ色になる確率を考えます。
すべての玉に名前をつけてあげる
右の図のようにそれぞれの玉に名前をつけます。
すべての場合の数を求める
このとき,玉の取り出し方を
どちらか1つは赤1の玉を取り出したとすると,
もう1つの玉を取り出し方は赤1以外の玉,
つまり,赤2,赤3,白1,白2,青1のどれかになるので,
樹形図として表すと,右の図のようになります。
同様に,どちらか1つは赤2の玉を取り出したとすると,もう1つの玉を取り出し方は赤2以外の玉,つまり,赤1,赤3,白1,白2,青1のどれかになります。このうち,赤1と赤2の組み合わせは,すでに数えているので除きます。このようにしてどちらか1つが赤3の場合,白1の場合,白2の場合,青1の場合も図に表すと下の図のようになり,全部で15通りになります。
2個の玉が同じ色になる場合の数を求める
15通りのうち,2個の玉が同じ色になるのは,次の4通りです。
よって,確率は \(\dfrac{4}{15}\) になります。
例題2.1個ずつ2回取り出したの玉の色が同じである確率
赤玉3個,白玉2個,青玉1個の合計6個の玉の中から1個取り出して色を確認し,もとに戻してからもう1回取り出したとき取り出した玉の色が同じ色になる確率を考えます。
すべての玉に名前をつけてあげる
右の図のようにそれぞれの玉に名前をつけます。
すべての場合の数を求める
このとき,玉の取り出し方を
まず,1個目に赤1の玉を取り出した場合を考えます。
この問題では,1個目に取り出した玉をもとに戻してから2回目を取り出すので,2個目の玉の取り出し方は,1回目と同様に赤1,赤2,赤3,白1,白2,青1の6通りになるので,
樹形図として表すと,右の図のようになります。
1個目に赤2,赤3,白1,白2,青1を取り出した場合についても,2個目の玉の取り出し方は,下の図のようになり,全部で36通りになります。
2個の玉が同じ色になる場合の数を求める
36通りのうち,2個の玉が同じ色になるのは,次の14通りです。
よって,確率は \(\dfrac{14}{36}=\dfrac{7}{18}\) になります。