二次関数のグラフ上の面積を二等分する応用問題(応用1)

問題

右の図で,曲線は関数 \(y=\dfrac{a}{x}\;(a>0)\)のグラフであり,点Oは原点である。3点A,B,Pは曲線上の点であり,その座標は(2,3),(-2,-3),(6,1)である。
このとき,次の問いに答えなさい。

(1) \(a\) の値を求めなさい。

(2) 線分BPと \(x\) 軸の交点をCとし,線分AB上に点Dをとる。
    △BCDの面積と四角形ADCPの面積が等しくなるとき,点Dの座標を求めなさい。

 

解説

\(a\) の値を求めなさい。

3点A,B,Pは曲線上の点なので,
関数 \(y = \dfrac{a}{x} \) にそれぞれの座標を示す\(x\) と \(y\) の値を代入したときに
方程式が成り立ちます。

よって,関数 \(y = \dfrac{a}{x} \) \( x=2 \) と \(y=3 \)を代入すると,

\(y=\cfrac{a}{x}\)
\(3=\cfrac{a}{2}\)
\(a=2\,✕\,3\)
\(a=6\)

となります。

反比例の式は \(y=\dfrac{a}{x}\) で表されますので,この方程式を変形すると,。

  \(y=\dfrac{a}{x}\)
  \( xy = a\)

つまり,曲線上の点はすべて \( x \) 座標と \( y \) 座標の積が一定の値( \( a \) )になります。

△BCDの面積と四角形ADCPの面積が等しくなるDの座標は?

解答の方針

四角形ADCPは,平行四辺形や長方形などの面積を求めやすい形にはなっていないので,計算で求めるのは難しいです。

そこで,少し広い範囲を見ていくと,
△ABPは△BCDと四角形ADCPをくっつけたものになっています。

ということは,△BCDの面積と四角形ADCPの面積が等しいとき,

  △ABP=2✕△BCD

の関係が成り立ちます。

以上より,△ABP=2✕△BCDになるときの
Dの座標を求める
ことにします。

△BCD=四角形ADCPのとき、
△ABP=△BCD+四角形ADCP
    =△BCD+△BCD
    =2△BCD

直線BPの式を求める

直線BPの式を \(y=ax+b\) とすると,

傾き\(a\ =\:\cfrac{yの増加量}{xの増加量}\)
   \(=\:\cfrac{1-(-3)}{6-(-2)}\)
   \(=\:\cfrac{4}{8}\)
   \(=\:\cfrac{1}{2}\)

となるので,\(y=\cfrac{1}{2}x+b\) に\(x=6,y=1\) を代入すると,

\(\ y\,=\,\cfrac{1}{2}x+b\)
\(\ 1\,=\,\cfrac{1}{2}\,✕\,6+b\)
\(\ 1\,=\,3+b\)
\(-2\,=\,b\)

よって,直線BPの式は,\(y=\cfrac{1}{2}x-2\) になります。

点Cの座標を求める

点Cは,直線BPと \(x\) 軸との交点なので,
\(y=\cfrac{1}{2}x-2\) に \(y=0\) をすると,

\(y=\cfrac{1}{2}x-2\)
\(0=\cfrac{1}{2}x-2\)
\(2=\cfrac{1}{2}x\)
\(4=x\)

線分BPの長さを求める

点Bを通り \( x \) 軸に平行な線分と点Pを通り\( y \) 軸に平行な線分との交点を点Qとすると,△BPQは直角三角形になっています。

このとき,線分BQの長さは \( x \) の増加量,線分PQ の長さは\( y \) の増加量と等しいので,三平方の定理より

BP=BQ+PQ
   = \(\{6ー(ー2)\}^2+\{1ー(ー3)\}^2\)
   = \(8^2 + 4^2\)
   = \(80\)
 BP= \(4\sqrt{5}\) ・・・(1)

2点を結ぶ線分の長さは三平方の定理を使って,
(求める長さ)2=(\(x\) の変化量)2+(\(y\) の変化量)2
で 求めることができます。

線分BCの長さを求める

線分BPの場合と同様に線分BCを求めると,

BC=BR+PR
   =\(\{4ー(ー2)\}^2+\{0ー(ー3)\}^2\)
   =\(6^2 + 3^2\)
   =\(45\)
 BC=\(3\sqrt{5}\) ・・・(2)

△ABPと△BCDの高さの比を求める

△ABPの底辺を線分BP,△BCDの底辺を線分BCとするときの
△ABPの高さを \(h\)1,△BCDの高さを \(h\)2とすると,

△ABP=BP ✕ \(h\)1 ÷2
    =\(4\sqrt{5}\) ✕ \(h\)1 ÷2
    =\(2\sqrt{5}\) ✕ \(h\)1

△BCD=BC ✕ \(h\)2 ÷2
    =\(3\sqrt{5}\) ✕ \(h\)2 ÷2
    =\(\dfrac{3\sqrt{5}}{2}\) ✕ \(h\)2

△ABP=2△BCD なので,

\(2\sqrt{5}\) ✕ \(h\)1 = \(2\,✕\,\dfrac{3\sqrt{5}}{2}\) ✕ \(h\)2
\(2\sqrt{5}\) ✕ \(h\)1 = \(3\sqrt{5}\) ✕ \(h\)2
  \(\!2\) ✕ \(h\)1 = \(3\) ✕ \(h\)2
   \(\dfrac{2}{3}\,h\)1 = \(h\)2

よって,△BCDの高さは,△ABPの高さの\(\cfrac{2}{3}\) になります。

線分ABを1:2に分ける点Dの座標を求める

△ABPの高さが \(\frac{2}{3}\) となる点は,線分ABと線分APをそれぞれ1:2に分ける2つの点を通る直線上にあります。また,線分ABを1:2に分ける点が点Dにあたります。

よって,点Dの座標を \((x,y)\) とすると,
点Dは,点Aからの \(x\) 軸方向の変化量が,
  \(\{2-(-2)\}\) ✕ \(\dfrac{1}{3}\)=\(\dfrac{4}{3}\),
\(y\) 軸方向の変化量が,
  \(\{3-(-3)\}\) ✕ \(\dfrac{1}{3}\,=\,2\)

より,点Aから \(x\) 軸方向に \(\dfrac{4}{3}\), \(y\) 軸方向に \(2\) だけ小さい位置にあります。

よって,\(x=2-\dfrac{4}{3}=\dfrac{2}{3}\),\(y=3-2=1\)となり,

点Dの座標は \(\dfrac{2}{3},1\) になります。