座標平面上の3本の直線で囲まれた三角形の面積の求め方

 

関数のグラフと図形を組み合わせた問題は,高校入試でよく出ます。

グラフと図形の面積の問題の中でもよく出る,
\(x\)軸または\(y\)軸に平行な辺を持たない三角形の面積
をより簡単に求める方法を紹介します。

ここでは,\(y=\dfrac{1}{5}x+5\) と \(y=2x-13\) と \(y=-x+5\) の
3本の直線で囲まれた三角形の面積を求めてみます。

鉄則:\(x\)軸または\(y\)軸に平行な直線を利用する

普通に求めると面倒すぎる・・・

1.頂点A,B,Cの座標を求める
\(y=-x+5\) より,点Aの座標は,A\((0,5)\) です。

点Bは \(y=\dfrac{1}{5}x+5\) と \(y=2x-13\) 上の点なので,
この2式を連立方程式として解くと,\(x=10,y=7\)となります。
よって,B\((10,7)\) です。

点Cは \(y=-x+5\) と \(y=2x-13\) 上の点なので,
この2式を連立方程式として解くと,\(x=6,y=-1\)となります。
よって,C\((6,-1)\) です。

2.底辺ACの長さを求める
ここでは,辺ACを底辺とすると,

AC=\(\sqrt{(6-0)^2+\{5-(-1)\}^2}\)
  =\(\sqrt{72}\)
  =\(6\sqrt{2}\)

3.直線BPの式を求める
点Bから辺ACに垂線をひき,交点をPとします。
このとき,AC⊥BPなので,

直線ACの傾き × 直線BPの傾き = \(-1\)
\(-1\) × 直線BPの傾き = \(-1\)
直線BPの傾き = \(-1\)

ここで,直線BPの式を \(y=x+b\) とすると,
B\((10,7)\) を通るので,

\(y=x+b\)
\(7=10+b\)
\(b=-3\)

よって,直線BPの式は \(y=x-3\) となります。

.点Pの座標を求める
点Bは \(y=-x+5\) と \(y=x-3\) 上の点なので,
この2式を連立方程式として解くと,\(x=4,y=1\)となります。
よって,P\((4,1)\) です。

5.高さBPを求める
  BP=\(\sqrt{(10-4)^2+(7-1)^2}\)
    =\(\sqrt{72}\)
    =\(6\sqrt{2}\)

6.△ABCの面積を求める
  △ABC=AC×BP×\(\dfrac{1}{2}\)
      =\(6\sqrt{2} \times 6\sqrt{2} \times \dfrac{1}{2} \)
      =\(36\; (cm^2)\)

方法1:\(x\)軸に平行な直線で2つの三角形に分けて求める

右の図のように,△ABCを\(x\)軸に平行な直線で2つの三角形に
分けることで,より簡単に面積を求めることができます。

△ABC=△ABD+△ACD

1.頂点A,B,Cの座標を求める

\(y=-x+5\) より,点Aの座標は,A\((0,5)\) です。

点Bは \(y=\dfrac{1}{5}x+5\) と \(y=2x-13\) 上の点なので,
この2式を連立方程式として解くと,\(x=10,y=7\)となります。
よって,B\((10,7)\) です。

点Cは \(y=-x+5\) と \(y=2x-13\) 上の点なので,
この2式を連立方程式として解くと,\(x=6,y=-1\)となります。
よって,C\((6,-1)\) です。

2.頂点Aから\(x\)軸に平行な直線をひき,点Dの座標を求める

点Aを通り,\(x\)軸に平行な直線をひき,辺BCとの交点をDとすると,点Dは \(y=5\) と \(y=2x-13\) 上の点なので,
この2式を連立方程式として解くと,\(x=9\)となります。
よって,D\((9,5)\) です。

3.△ABDと△ACDの面積を求める

ADを底辺として考えると,

AD=Dの\(x\)座標-Aの\(x\)座標
  =\(9-0\)
  =\(9\)

△ABDの高さ=Bの\(y\)座標-Dの\(y\)座標
       =\(7-5\)
       =\(2\)

△ACDの高さ=Dの\(y\)座標-Cの\(y\)座標
       =\(5-(-1)\)
       =\(6\)

と表すことができるので,

△ABD=\(9 \times 2 \times \dfrac{1}{2}\)
    =\(9\; (cm^2)\)

△ACD=\(9 \times 6 \times \dfrac{1}{2}\)
    =\(27\; (cm^2)\)

4.△ABCの面積を求める

△ABCは,△ABDと△ACDの和となっているので,

△ABC=△ABD+△ACD
    =\(9+27\)
    =\(36\; (cm^2)\)

方法2:\(y\)軸に平行な直線で2つの三角形に分けて求める

同様に,△ABCを\(y\)軸に平行な直線で2つの三角形に
分ける方法もあります。

△ABC=△ACE+△BCE

1.頂点A,B,Cの座標を求める

3点の座標は,A\((0,5)\) ,B\((10,7)\) ,C\((6,-1)\) です。

求め方は\(x\)軸に平行な直線の場合と同じなので省略します。

2.頂点Cから\(y\)軸に平行な直線をひき,点Eの座標を求める

点Cを通り,\(y\)軸に平行な直線をひき,辺ABとの交点をEとすると,点Eは \(x=6\) と \(y=\dfrac{1}{5}x+5\) 上の点なので,
この2式を連立方程式として解くと,\(y=\dfrac{31}{5}\)となります。
よって,E\((6,\dfrac{31}{5})\) です。

3.△ACEと△ABEの面積を求める

CEを底辺として考えると,

CE=Eの\(y\)座標-Cの\(y\)座標
  =\(\dfrac{31}{5}-(-1)\)
  =\(\dfrac{36}{5}\)

△ACEの高さ=Eの\(x\)座標-Aの\(x\)座標
       =\(6-0\)
       =\(6\)

△BCEの高さ=Bの\(x\)座標-Eの\(x\)座標
       =\(10-6\)
       =\(4\)

と表すことができるので,

△ACE=\(\dfrac{36}{5} \times 6 \times \dfrac{1}{2}\)
    =\(\dfrac{108}{5}\; (cm^2)\)

△BCE=\(\dfrac{36}{5} \times 4 \times \dfrac{1}{2}\)
    =\(\dfrac{72}{5}\; (cm^2)\)

4.△ABCの面積を求める

△ABCは,△ACEと△BCEの和となっているので,

△ABC=△ACE+△BCE
    =\(\dfrac{108}{5}+\dfrac{72}{5}\)
    =\(36\; (cm^2)\)

問題によってうまく使い分けよう

\(x\)軸に平行な直線を使うか\(y\)軸に平行な直線に平行な直線を使うかは問題によります。
今回の例では,\(x\)軸に平行な直線を使う方が底辺や高さが自然数になるので,計算しやすくなります。

試験時間には限りがあり,より難しい問題に時間をかけたいので,解き方を工夫することも覚えていきましょう。