福井県公立高校入試 令和5(2023)年度 選択問題A 解答&解説

大問1

(1) 次の計算をせよ。

ア \( -3+(-2) \times (-5) \)

【解答】
\( 7 \)
【解説】
\( =-3+10 \)
\( =7 \)

 

イ \( 4ac \times 6ab \div 3bc \)

【解答】
\( 8a^2 \)
【解説】
\( =\dfrac{4ac \times 6ab}{3bc} \)
\( =8a^2 \)

 

ウ \( \sqrt{2} \times \sqrt{6}+ \sqrt{27} \)

【解答】
\( 5\sqrt{3} \)
【解説】
\( =\sqrt{12}+\sqrt{27} \)
\( =2\sqrt{3}+3\sqrt{3} \)
\( =5\sqrt{3} \)

 

エ \( \dfrac{a+2b}{2}-\dfrac{b}{3} \)

【解答】
\( \dfrac{3a+4b}{6} \)
【解説】
\( =\dfrac{3(a+2b)}{6}-\dfrac{2b}{6} \)
\( =\dfrac{3(a+2b)-2b}{6} \)
\( =\dfrac{3a+4b}{6} \)

 

(2) \( a^2-a-6 \) を因数分解せよ。

【解答・解説】
\( =(a+2)(a-3) \)

 

(3) 次の連立方程式,二次方程式を解け。

ア  \( \left\{ \begin{array}{} x-y=5 \\
2x+3y=-5 \end{array} \right. \)

【解答】
\( x=2,y=-3 \)
【解説】
\( x-y=5 \) ・・・ ①
\( 2x+3y=-5 \) ・・・ ➁
①×2
 \( 2x-2y=10 \) ・・・ ①’
➁-①’
 \( 5y=-15 \)
  \( y=-3 \)
①に代入
 \( x-(-3)=5 \)
     \( x=2 \)

 

イ  \( x^2+x-1=0 \)

【解答】
\( x=\dfrac{-1±\sqrt{5}}{2} \)
【解説】
\( ax^2+bx+c=0 \) とすると,\( a=1,b=1,c=-1 \) なので,
解の公式より,
 \( x=\dfrac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \)
  \( =\dfrac{-1±\sqrt{1^2-4 \times 1 \times (-1)}}{2 \times 1} \)
  \( =\dfrac{-1±\sqrt{5}}{2} \)

 

(4) 次の数量の関係を,不等式で表せ。
「1本50円の鉛筆 \( x \) 本と1冊100円のノート \( y \) 冊を買おうとしたが,1000円ではたりなかった。」

【解答】
\( 50x+100y>1000 \)
【解説】
1本50円の鉛筆 \( x \) 本の代金 → \( 50x \)
1冊100円のノート \( y \) 冊の代金 → \( 100y \)
合計の代金は1000円より大きかったので,求める不等式は,
\( 50x+100y>1000 \)

 

(5) 3辺の長さが \( 2 \; cm,3 \; cm, \sqrt{13} \; cm \) である三角形が直角三角形になる理由を,言葉や数,式を用いて説明せよ。

【解答・解説】
3辺について,\( 2^2+3^2=(\sqrt{13})^2 \) であり,三平方の定理が成立しているため。

 

(6) 右の図で,\( △ABC \) の \( ∠A \) の二等分線と辺 \( BC \) の交点 \( D \) を作図せよ。ただし,作図に用いた線は消さないこと。

【解答・解説】
手順1 点 \( A \) を中心に辺 \( AB,AC \) と交わる弧を描く。
    (交点を \( E,F \) とします)
手順2 点 \( E,F \) を中心に同じ半径の弧を描く。
    (交点を \( G \) とします)
手順3 点 \( A,G \) を通る直線を描く。

手順3の直線と辺 \( BC \) の交点が \( D \) になります。

 

大問2

(1) ある学校の生徒10人に対してクイズを10問ずつ行った。それぞれの生徒の正解数を小さいほうから順に並べたデータと,そのデータの箱ひげ図は次のようになった。このとき, ア  エ にあてはまる値と,この10人の正解数の四分位範囲を求めよ。

【解答】
 ア  ・・・ 6    イ  ・・・ 10    ウ  ・・・ 3    エ  ・・・ 6
四分位範囲 ・・・ 3(問)
【解説】
 ア  ・・・ データの総数が10(人)なので,中央値(7問)は正解数が少ない方から
      5番目の人(ア問)と6番目の人(8問)の平均値なので,
       \(\dfrac{ア+8}{2}=7\)
       \(ア+8=14\)
         \(ア=6\)

 イ  ・・・ (箱ひげ図)より,最大値は10問

 ウ  ・・・ (データ)より,最小値は3問

 エ  ・・・ データの総数が10(人)なので,
      第一四分位数は正解数が少ない方から3番目の人のデータ。
      よって,6問

四分位範囲 ・・・ 四分位範囲=第三四分位数-第一四分位数 なので, \( 9-6=3 \) (問)

 

(2) 下の【証明】は \( △ABC \) の内角の和が \( 180° \) になることを証明したものである。
このとき,  ア  イ  にあてはまる角を書き入れて証明を完成させよ。

【証明】
右の図のように,3点 \( B,C,D \) が一直線上にあるように
点 \( D \) をとり, \( AB//EC \) となるように点 \( E \) をとる。
平行線の同位角は等しいので,\( AB//EC \) から,
  \( ∠ABC= \)  ア   ・・・ ①
また,平行線の錯角は等しいので,\( AB//EC \) から,
  \( ∠BAC= \)  イ   ・・・ ②
①,②から,\( △ABC \) の内角の和を求めると,
  \( ∠ABC+∠BAC+∠ACB \)
 \( = \)  ア  \( + \)  イ  \( +∠ACB \)
 \( =∠BCD \)
となり,3点 \( B,C,D \) は一直線上にあるから,
\( ∠BCD=180° \) であり,
\( △ABC \) の内角の和は \( 180° \) である。

【解答・解説】

 ア  ・・・ \( ∠ECD \)
 イ  ・・・ \( ∠ACE \)

 

(3) 次の五角形の内角の和を求めよ。

【解答】
\( 540° \)
【解説】
下の図のように対角線を引くと,3つの三角形に分けられます。
三角形の内角の和は \( 180° \) なので,
五角形の内角の和は \( 180° \times 3=540° \)


 

大問3

右の図は,1辺の長さが \( 1cm \) の正方形 \( ABCD \) である。点 \( P \) は最初,頂点 \( A \) にあり,1枚の硬貨を1回投げるごとに,正方形の辺上を,次の【規則】にしたがって動く。


【規則】
○ 1回目に硬貨を投げるとき
  ・ 出た面が表のときは反時計回りに \( 1cm \),
   裏のときは時計回りに \( 2cm \) 動く。
○ 2回目,3回目に硬貨を投げるとき
  ・ 直前に投げた硬貨と同じ面が出た場合は,動かない。
  ・ 直前に投げた硬貨と違う面が出た場合は,
   出た面が表のときは反時計回りに \( 1cm \),
   裏のときは時計回りに \( 2cm \) 動く。
(例) 硬貨を3回投げ,表,表,裏の順に出たとき,
   点 \( P \) は頂点 \( D \) にある。


このとき,次の問いに答えよ。
ただし,硬貨の表と裏の出かたは同様に確からしいとする。

(1) 硬貨を2回投げるとき,点 \( P \) が頂点 \( C \) にある確率を求めよ。

【解答】
\( \dfrac{1}{4} \)
【解説】
表裏の出かたによって,どの頂点に移動するかを樹形図に書いてみます。
硬貨を2回投げるとき,すべての場合の数は4通り。
そのうち,頂点 \( C \) になるのは,裏・裏のときの1通り。
よって,求める確率は \( \dfrac{1}{4} \)


 

(2) 硬貨を3回投げるとき,点 \( P \) がどの頂点にある確率がもっとも大きくなるか,
   その頂点を書き,そのときの確率を求めよ。

【解答】
頂点 \( D \)    確率 ・・・ \( \dfrac{1}{2} \)
【解説】
表裏の出かたによって,どの頂点に移動するかを樹形図に書いてみます。
硬貨を3回投げるとき,すべての場合の数は8通り。
そのうち,頂点 \( D \) になるのが,4通りで最も多くなります。
よって,求める確率は \( \dfrac{4}{8}=\dfrac{1}{2} \)


 

大問4

大きさが等しい正方形の白いタイル (□) と黒いタイル (■) がある。下の図のように,はじめに黒いタイルを1枚置き,その黒いタイルを囲むように,四隅は黒いタイルを,他の部分は白いタイルをすきまなく並べる。そのときできた正方形を1番目の図形とする。次に1番目の図形を囲むように,四隅は黒いタイルを,他の部分は白いタイルをすきまなく並べる。そのときできた正方形を2番目の図形とする。同様に,できた図形を囲むように,四隅は黒いタイルを,他の部分は白いタイルをすきまなく並べ,順に図形を作っていく。
このとき,次の問いに答えよ。

(1) 5番目の図形において,黒いタイルの枚数を求めよ。

【解答】
21枚
【解説】
1番目 ・・・ \( 1+4 \) 枚
2番目 ・・・ \( 1+4+4 \) 枚
3番目 ・・・ \( 1+4+4+4 \) 枚
4番目 ・・・ \( 1+4+4+4+4 \) 枚
5番目 ・・・ \( 1+4+4+4+4+4=21 \) 枚

 

(2) \( n \) 番目の図形において,黒いタイルの枚数と,すべてのタイルの枚数を,\( n \) を用いた式で表せ。

【解答】
黒いタイル ・・・  \( 4n+1 \)
すべてのタイル ・・・  \( (2n+1)^2 \)
【解説】
● 黒いタイルの枚数
  はじめの1枚に4枚ずつが \( n \) 回追加されているので,\( 4n+1 \) 枚になります。

● すべてのタイルの枚数
  すべての図形は正方形になっているので,1辺に何枚ずつ並んでいるかを考えます。
   1番目 ・・・ \( 3=2+1=2 \times 1+1 \) 枚
   2番目 ・・・ \( 5=4+1=2 \times 2+1 \) 枚
   3番目 ・・・ \( 7=6+1=2 \times 3+1 \) 枚
   ・・・
  となっているので,1辺に \( 2n+1 \) 枚並んでいるとわかります。
  よって,すべてのタイルの枚数は,\( (2n+1)^2 \) 枚になります。

 

(3) 何番目の図形であっても,白いタイルの枚数は偶数の2乗になることを,言葉や数,式を用いて説明せよ。

【解答・解説】
\( n \) 番目の図形において,
すべてのタイルの枚数は \( (2n+1)^2 \) 枚,黒いタイルの枚数は \( 4n+1 \) 枚なので,
白いタイルの枚数は
\( (2n+1)^2-(4n+1)=4n^2=(2n)^2 \)
より,\( (2n)^2 \) 枚と表すことができる。
\( n \) は整数なので,\( 2n \) は必ず偶数になる。
よって,何番目の図形であっても,白いタイルの枚数は偶数の2乗になる。

 

大問5

右の図のように,関数 \( y=\dfrac{1}{2}x^2 \)  ・・・ ①,
関数 \( y=ax^2 \) ( \( a \) は正の定数) ・・・ ② のグラフがある。
\( x \) 軸上に点 \( A \) をとる。点 \( A \) から \( y \) 軸と平行な直線をひき,① のグラフとの交点を \( B \),② のグラフとの交点を \( C \) とする。ただし,点 \( A \) の \( x \) 座標は正とする。
このとき,次の問いに答えよ。

(1) 点 \( C \) の \( y \) 座標が,点 \( B \) の \( y \) 座標よりも大きいとき,\( a \) の値と,\( \dfrac{1}{2} \) の関係について,
次のから正しいものを1つ選び,その記号を書け。

  \( a<\dfrac{1}{2} \)             \( a>\dfrac{1}{2} \)            \( a=\dfrac{1}{2} \)

【解答】

【解説】
点 \( B,C \) の \( x \) 座標を \( t \) とすると,
点 \( B \) の \( y \) 座標は,\( y=\dfrac{1}{2}t^2 \)
点 \( C \) の \( y \) 座標は,\( y=at^2 \)
点 \( C \) の \( y \) 座標の方が点 \( B \) の \( y \) 座標より大きいので,
\( at^2>\dfrac{1}{2}t^2 \)
\( a>\dfrac{1}{2} \) ( \( t>0 \)より )

 

(2) 点 \( A \) の \( x \) 座標が \( 2 \) のとき,\( AB:BC = 1:3 \) であった。

ア 2点 \( B,C \) の \( y \) 座標と,\( a \) の値を求めよ。

【解答】
\( B \; ・・・ \; y=2 \)  \( C \; ・・・ \; y=8 \)   \( a=2 \)
【解説】

\( x=2 \) のとき,
\( B \) の \( y \) 座標は,\( y=\dfrac{1}{2} \times 2^2=2 \)
\( C \) の \( y \) 座標は,\( y=a \times 2^2=4a \)
なので,
\( AB=2 \),\( BC=4a-2 \) と表すことができます。
よって,
  \( AB:BC=1:3 \)
 \( 2:(4a-2)=1:3 \)
    \( 4a-2=6 \)
      \( a=2 \)
\( a=2 \) のとき,\( C \) の \( y \) 座標は,\( y=4 \times 2=8 \)

 

イ ②の関数について,\( x \) の変域が \( -3≦x≦2 \) のときの \( y \) の変域を求めよ。

【解答】
\( 0≦y≦18 \)
【解説】

\( y=ax^2 \) ( \( a>0 \) ) において,\( x \) の変域が \( 0 \) を含む場合,
\( y \) の変域の最小値は \( 0 \) になります。
また,\( y \) の変域が最大値をとるのは,
\( x \) の絶対値が最大になるときです。
\( -3≦x≦2 \) のとき,\( x \) の絶対値が最大になるのは
\( x=-3 \) のときなので,
②の関数 \( y=2x^2 \) において,
\( x=-3 \) のときの \( y \) 座標の値は,
 \( y=2 \times (-3)^2=18 \)
よって,\( y \) の変域は,\( 0≦y≦18 \)

 

ウ ①の関数の \( x \) の変域が \( -3≦x≦b \) のときの \( y \) の変域と,イで求めた \( y \) の変域が等しくなった。
このとき,\( b \) の値を求めよ。

【解答】
\( b=6 \)
【解説】

イの結果より,①の関数 \( y=\dfrac{1}{2}x^2 \) の \( y \) の変域が
\( 0≦y≦18 \) になるということです。
\( y=18 \) になるときの \( x \) の値は,
 \( \dfrac{1}{2}x^2=18 \)
  \( x^2=36 \)
   \( x=±6 \)
\( x \) の変域は \( -3≦x≦b \) なので,
あてはまるのは,\( x=6 \) のみ。
よって, \( b=6 \)

 

(3)  \( a=3 \) ,点 \( A \) の \( x \) 座標が \( 3 \) のとき,①,②のグラフと線分 \( BC \) で囲まれた図形の周および内部において,\( x \) 座標,\( y \) 座標がともに整数である点の個数を求めよ。

【解答】
38個
【解説】

\( x=0,1,2,3 \) のそれぞれについて,
\( y \) 座標の値の取り得る範囲を求め,
その中に,整数になる値がいくつあるかを数えていきます。

● \( x=0 \) のとき
  ➀の関数 ・・・ \( y=\dfrac{1}{2} \times 0^2=0 \)
  ➁の関数 ・・・ \( y=3 \times 0^2=0 \)
  なので,取り得る \( y \) 座標の値は \( 0 \) のみ
  よって,あてはまるのは1個

● \( x=1 \) のとき
  ➀の関数 ・・・ \( y=\dfrac{1}{2} \times 1^2=\dfrac{1}{2} \)
  ➁の関数 ・・・ \( y=3 \times 1^2=3 \)
  なので,取り得る \( y \) 座標の範囲は
   \( \dfrac{1}{2}≦y≦3 \)
  よって,この範囲にある整数は3個

● \( x=2 \) のとき
  ➀の関数 ・・・ \( y=\dfrac{1}{2} \times 2^2=2 \)
  ➁の関数 ・・・ \( y=3 \times 2^2=12 \)
  なので,取り得る \( y \) 座標の範囲は
   \( 2≦y≦12 \)
  よって,この範囲にある整数は11個

● \( x=3 \) のとき
  ➀の関数 ・・・ \( y=\dfrac{1}{2} \times 3^2=\dfrac{9}{2} \)
  ➁の関数 ・・・ \( y=3 \times 3^2=27 \)
  なので,取り得る \( y \) 座標の範囲は
   \( \dfrac{9}{2}≦y≦27 \)
  よって,この範囲にある整数は23個

以上より,あてはまる点の個数は,
\( 1+3+11+23=38 \) (個)