長野県公立高校入試 令和5(2023)年度 解答&解説

大問1

(1) \( -3+4 \) を計算しなさい。

【解答】
\( 1 \)

 

(2) \( n \) を負の整数としたとき,計算結果がいつでも正の整数になる式を,次の から1つ選び,記号を書きなさい。

 \( 5+n \)     \( 5-n \)     \( 5 \times n \)     \( 5 \div n \) ]

【解答】

【解説】
 例:\( n=-7 \) のときは \( 5+(-7)=-2 \) になります。
 正の数 \( \times \) 負の数 \( = \) 負の数になります。
 正の数 \(  \div  \) 負の数 \( = \) 負の数になります。

 

(3) \( \dfrac{3x-5y}{2}-\dfrac{2x-y}{4} \) を計算しなさい。

【解答】
\( \dfrac{4x-9y}{4} \)
【解説】
\( =\dfrac{2(3x-5y)-(2x-y)}{4} \)
\( =\dfrac{6x-10y-2x+y}{4} \)
\( =\dfrac{4x-9y}{4} \)

 

(4) \( (x-3)^2+2(x-3)-15 \) を因数分解しなさい。

【解答】
\( (x-6)(x+2) \)
【解説】
\( x-3=a \) とすると,
与式 \( =a^2+2a-15 \)
   \( =(a-3)(a+5) \)
   \( =\{ (x-3)-3 \}\{ (x-3)+5 \} \)
   \( =(x-6)(x+2) \)

 

(5) 二次方程式 \( x^2+2x-1=0 \) を解きなさい。

【解答】
\( -1±\sqrt{2} \)
【解説】
この方程式を \( ax^2+bx+c=0 \) とすると,\( a=1,b=2,c=-1 \) なので,
解の公式より,
 \( x=\dfrac{-2±\sqrt{2^2-4 \times 1 \times (-1)}}{2 \times 1} \)
  \( =\dfrac{-2±\sqrt{4+4}}{2} \)
  \( =\dfrac{-2±2\sqrt{2}}{2} \)
  \( =-1±\sqrt{2} \)

 

(6) \( 12 \; m \) のロープを \( x \) 等分したときの,1本分のロープの長さを \( y \; m \) とする。\( x \) と \( y \) の関係についていえることを,次の から2つ選び,記号を書きなさい。

  \( x \) の値が \( 2 \) 倍,\( 3 \) 倍,\( 4 \) 倍,・・・ になると,\( y \) の値も \( 2 \) 倍,\( 3 \) 倍,\( 4 \) 倍, ・・・ になる。
  \( x \) の値が \( 2 \) 倍,\( 3 \) 倍,\( 4 \) 倍,・・・ になると,yの値は\( \dfrac{1}{2} \) 倍,\( \dfrac{1}{3} \) 倍,\( \dfrac{1}{4} \) 倍,・・・ になる。
  対応する \( x \) と \( y \) の値の積 \( xy \) は一定である。
  対応する \( x \) と \( y \) の値の商 \( \dfrac{y}{x} \) は一定である。

【解答】

【解説】
例えば,\( 12 \; m \) のロープを
 \( 2 \) 等分すると,1本分のロープの長さは \( 6 \; m \), → \(2 \times 6=12\)
 \( 4 \) 等分すると,1本分のロープの長さは \( 3 \; m \), → \(4 \times 3=12\)
 \( 6 \) 等分すると,1本分のロープの長さは \( 2 \; m \), → \(6 \times 2=12\)
 \( 12 \) 等分すると,1本分のロープの長さは \( 1 \; m \), → \(12 \times 1=12\)
となるので,
  \( x \) の値が \( 2 \) 倍,\( 3 \) 倍,\( 4 \) 倍,・・・ になると,yの値は\( \dfrac{1}{2} \) 倍,\( \dfrac{1}{3} \) 倍,\( \dfrac{1}{4} \) 倍,・・・ になります。
また,
  対応する \( x \) と \( y \) の値の積は,\( 12 \) で一定になります。

 

(7) ある郵便物の重さをデジタルはかりで調べたところ,\( 31 \; g \) と表示された。
この数値は小数第1位を四捨五入して得られた値である。この郵便物の
重さの真の値を \( a \; g \) としたとき,\( a \) の範囲を不等号を使って表したものとして正しいものを,次の から1つ選び,記号を書きなさい。

 \( 30.5<a<31.5 \)     \( 30.5≦a≦31.5 \)
 \( 30.5≦a<31.5 \)     \( 30.5<a≦31.5 \)

【解答】

【解説】
小数第1位を四捨五入するということは,
小数第1位の数字が4以下であれば切り捨て,5以上であれば切り上げるということです。

つまり,
\( 30.4 \; g \) であれば,切り捨てで \( 30 \; g \) と表示され,\( 30.5 \; g \) であれば,切り上げで \( 31 \; g \) と表示されます。
また,
\( 31.4 \; g \) であれば,切り捨てで \( 31 \; g \) と表示され,\( 31.5 \; g \) であれば,切り上げで \( 32 \; g \) と表示されます。

よって,あてはまるのは, \( 30.5≦a<31.5 \) になります。

 

(8) 赤玉2個,青玉3個が入っている袋がある。この袋から,玉を1個取り出し,それを袋に戻さないで,続けて玉を1個取り出す。
このとき,取り出した2個の玉の色が異なる確率を求めなさい。
ただし,どの玉が取り出されることも同様に確からしいものとする。

【解答】
\( \dfrac{3}{5} \)

【解説】
5個の玉に「赤1,赤2,青1,青2,青3」と名前をつけ,取り出す玉の組み合わせを樹形図に表し,
2個の玉の色が異なる組み合わせのところに ○ をつけると,下の図のようになります。
すべての組み合わせは20通り,色が異なる組み合わせは12通りなので,
求める確率は,\( \dfrac{12}{20}=\dfrac{3}{5} \)

ちなみに,同時に取り出していないので,こんな樹形図にはなりません。

 

 

(9) ノートには,ある連立方程式とその解が書かれていたが,一部が消えてしまった。消えてしまった二元一次方程式はどれか,次の から1つ選び,記号を書きなさい。

 \( x-y=-1 \)      \( 3x-2y=10 \)
 \( x+4y=10 \)     \( x-3y=11 \)

【解答】

【解説】
\( x=2,y= \)      のとき,\( x+y=-1 \) を満たすので,
\( x+y=-1 \) に \( x=2 \) を代入すると,
 \( 2+y=-1 \)
   \( y=-3 \)
これが,消えている解     になります。

連立方程式だったということは,もう1つの式に \( x=2 \) を代入したとき,\( y=-3 \) になるものが正解になるので,
の式に \( x=2 \) を代入すると,
 \( y=3 \)    \( y=-2 \)    \( y=2 \)    \( y=-3 \)
となるので,答えは  になります。

 

(10) 図1のように,\( △ABC \) がある。辺 \( BC \) 上に,\( BC⊥AP \) となる点 \( P \) を,定規とコンパスを使って作図しなさい。ただし,点 \( P \) を表す文字 \( P \) も書き,作図に用いた線は消さないこと。

【解答】
手順1 点 \( A \) を中心に円弧を描く。
    (辺 \( BC \) との交点を点 \( Q,R \) とします。)
手順2 点 \( Q,R \) を中心に円弧を描く。
    (交点を点 \( S \) とします。)
手順3 2点 \( A,S \) を通る直線を描く。

手順3の直線と辺 \( BC \) の交点が求める点 \( P \) になります。
   

【解説】

二等辺三角形の頂角から底辺に垂線をひくと,
この垂線は底辺の垂直二等分線になることを利用します。

点 \( A \) からの距離が等しくなるような2点 \( Q,R \) を
辺 \( BC \) 上にとると,\( △AQR \) は二等辺三角形になります。

さらに,2点 \( Q,R \) からの距離が等しくなる点 \( S \) を作図すると,
\( △SQR \) も二等辺三角形になるので,\( BC⊥AS \) になります。

 

(11) 図2において,\( ∠x \) の大きさを求めなさい。

【解答】
\( 64° \)
【解説】
何角形かにかかわらず,外角の和は \( 360° \) になるので,
 \( 360°-(56°+90°+70°+80°)=64° \)
   

 

(12) 図3は,半径が \( 3 \; cm \) の球 \( A \) と底面の半径が \( 2 \; cm \) の
円柱 \( B \) である。\( A \) と \( B \) の体積が等しいとき,\( B \) の高さ
を求めなさい。

【解答】
\( 9 \; cm \)
【解説】
球 \( A \) の体積は,
 \( \dfrac{4}{3} \times \pi{} \times 3^3=36\pi{} \; (cm^3) \)

円柱 \( B \) の高さを \( x \; cm \) とすると,体積は,
 \( \pi{} \times 2^2 \times x=4\pi{}x \; (cm^3) \)

これらの体積が等しいので,
 \( 4\pi{}x=36\pi{} \)
   \( x=9 \; (cm) \)

 

大問2

Ⅰ 守さんは,A市について2005年,2010年,2015年,2020年の8月の日最高気温(その日の最も高い気温)を調べ,どのような傾向にあるか考えるため,図1の箱ひげ図に表した。

(1) 図2は,図1のいずれかの年の箱ひげ図をつくる際にもとにしたデータを,ヒストグラムに表したものである。図2は,何年のヒストグラムか書きなさい。

【解答】
2020年
【解説】
ヒストグラムから,
最大値は38℃以上40℃未満なので,
あてはまるのは2020年になります。

 

(2) 図1から読みとれることとして,次の ➀,➁ は,「正しい」,「正しくない」,「図1からはわからない」のどれか,最も適切なものを,下の から1つずつ選び,記号を書きなさい。

➀ 2020年は,8月の日最高気温の散らばりが,4つの箱ひげ図の中で2番目に小さい。
➁ 2005年は,8月の日最高気温が35℃を超えた日は1日しかない。

 正しい     正しくない     図1からはわからない 〕

【解答】
➀ 
➁ 
【解説】
➀ データの散らばりは四分位範囲と範囲の大小で判断できます。
  各年の四分位範囲と範囲は,
   2005年 ・・・ 四分位範囲:約3.2℃,範囲:約9℃
   2010年 ・・・ 四分位範囲:約3.2℃,範囲:約7℃
   2015年 ・・・ 四分位範囲:約8℃,範囲:約16℃
   2020年 ・・・ 四分位範囲:約3.5℃,範囲:約8℃
  2005年,2010年,2020年の四分位範囲と範囲はほぼ同じですが,
  範囲が2020年は2番目に小さいので,散らばりも2番目に小さいと判断できます。

➁ 最大値が35℃を超えており,第三四分位数が約32℃なので,35℃を超えた日は1日以上7日以下
  であることはわかりますが,図1だけではそれ以上に絞り込むことはできません。

 

(3) 図1で,2010年と2015年の8月の日最高気温の分布を比較して次のようにまとめた。 あ  い  に当てはまる最も適切なものを,下の から1つずつ選び,記号を書きなさい。
ただし, あ  い  には異なる記号が入る。


最大値を比べると,2015年は2010年よりも高いことがわかる。しかし,2015年は,全体の  あ  以上の日が30℃を超えていたが,2010年は,全体の  あ  以上の日が34℃を超えていた。また,2010年の最小値は約29℃であるが,2015年は,全体の約  い  の日が 27℃以下であり,2015年は2010年と比べて,日最高気温の低い日が多かったことがわかる。


 25%     50%     75%     100% 〕

【解答】
 あ  ・・・
 い  ・・・
【解説】
箱ひげ図から,2015年の中央値は30℃を超えていて,第一四分位数は約27℃になっています。
上下のひげの部分,第二四分位数をはさんで箱の左右には,それぞれ約 \( 25 \)%のデータが含まれます。
よって,中央値から最大値までの間には約 \( 50 \)%のデータ,
最小値から第一四分位数までの間には約 \( 25 \)%のデータが含まれることになります。

 

Ⅱ 春さんは,自然数をある規則に従って並べ,表にまとめた。図3はその一部である。春さんは咲さんに,表を用いて,次のような数あてマジックを行った。


春:表の中から1つ数を選んでください。その数は表の何行目にありますか?
咲:3行目だよ。
春:選んだ数とその右隣の数,さらにその右隣の数の3つの数をたすといくつになりますか?
咲:\( 27 \) だよ。
春:最初に選んだ数は・・・,表の3行目の2列目にある6ですね。
咲:あたり! どうしてわかったの?


(1) 春さんは,数あてマジックの仕組みとその説明を咲さんに示すため,ノート1にまとめた。
に途中の過程を書き,正しい説明を完成させなさい。


〔ノート1〕

〔数あてマジックの仕組み〕
最初に選んだ数を \( a \),\( a \) の右隣の数を \( b \),\( b \) の右隣の数を \( c \) とする。
➀ 3つの数 \( a,b,c \) の和を \( 3 \) でわると \( b \) がわかる。
➁ \( a \) が \( m \) 行目の数であるとき,\( b \) から \( m \) をひくと,最初に選んだ数 \( a \) がわかる。

数あてマジックの仕組みの ➀ について,図4のように,\( a \) を \( m \) 行目,\( n \) 列目の数とし,
\( a+b+c \) と \( 3b \) が等しくなることを,\( m,n \) を用いて説明する。

\( a=mn,b=m(n+1) ,c=m(n+2) \) と表されるから,

\( a+b+c= \)

したがって,\( a+b+c=3b \) が成り立つ。
数あてマジックの仕組みの ➁ について,\( b \) から \( m \) をひくと,
\( b-m=m(n+1)-m=mn+m-m=mn \) である。\( a=mn \) より,\( b-m=a \) である。


【解答】
\( a+b+c=mn+m(n+1)+m(n+2) \)
     \( =3mn+3m \)
     \( =3m(n+1) \)
     \( =3b \) (\( b=m(n+1) \)より)

 

(2) 春さんは,表において,横に連続して並ぶ5つの数についても,同じような関係が成り立つことに気づき,ノート2にまとめた。ノート2が正しくなるように, う  お  には当てはまる適切な数を, え  には \( a,b,c,d,e \) のいずれかの文字1つをそれぞれ書きなさい。


〔ノート2〕
最初に選んだ数を \( a \),\( a \) の右隣の数を \( b \),\( b \) の右隣の数を \( c \),\( c \) の右隣の数を \( d \),\( d \) の右隣の数を \( e \) とする。5つの数 \( a,b,c,d,e \) の和を  う  でわると  え  がわかる。
表の11行目にある数のうち,横に連続して並ぶ5つの数の和が \( 605 \) である。このとき,最初に選んだ数 \( a \) は  お  である。


【解答】
 う  ・・・ \( 5 \)
 え  ・・・ \( c \)
 お  ・・・ \( 99 \)
【解説】
ノート1のときと同様に考えると,
 \( a+b+c+d+e=mn+m(n+1)+m(n+2)+m(n+3)+m(n+4) \)
          \( =5mn+10 \)
          \( =5m(n+2) \)
          \( =5c \) (\( c=m(n+2) \)より)
なので,これを「5」で割ると「 \( c \) 」になります。

今回の例では,\( a+b+c+d+e=5c=605,m=11 \) なので,\( c=121 \) であり,
\( c=m(n+2)=121 \) に \( m=11 \) を代入すると,
 \( 11(n+2)=121 \)
    \( 11n=99 \)
     \( n=9 \)
となります。

よって,\( a=mn=11 \times 9=99 \)

 

大問3

Ⅰ 秋さんの家には,水の放出量が異なる2つの加湿器A,Bがある。A,Bにはともに「強」,「弱」の2つの設定があり,各設定の1時間あたりの水の放出量は表のとおりである。
ただし,A,Bのどの設定もそれぞれ一定の割合で水を放出し,放出された水の量だけ水タンクから水が減るものとする。

(1) 秋さんは,まずAを使ってみた。水タンクに \( 2 \; L \) の水を入れた状態から「弱」の設定で運転し,\( 4 \) 時間後に「強」の設定に切り替えたところ,運転開始からちょうど \( 7 \) 時間後に水タンクの水がなくなった。
図1は,運転開始から \( x \) 時間後の水タンクの水の量を \( y \; L \) として,\( x \) と \( y \) の関係を表したグラフである。

➀ 表の  あ  に当てはまる適切な数を求めなさい。

【解答】
\( 0.2 \)
【解説】
「弱」の設定で \( 4 \) 時間運転し,その後,「強」の設定で何時間か運転した結果,
\( 7 \) 時間運転したところで水がなくなったので,「強」の設定で運転したのは \( 3 \) 時間とわかります。

「弱」の設定での水の放出量を \( a \; L \) とすると,
 \( 4a+0.4 \times 3=2 \)
      \( 4a=0.8 \)
       \( a=0.2 \; (L) \)

 

➁ \( x \) の変域が \( 4≦x≦7 \) のとき,\( x \) と \( y \) の関係を式に表しなさい。

【解答】
\( y=-0.4x+2.8 \)
【解説】
この部分の直線は,2点 \( (4,1.2),(7,0) \) を通るので,
 傾き \( =\dfrac{0-1.2}{7-4}=-0.4 \)
この直線の式を \( y=-0.4x+b \) とすると,\( (7,0) \) を通るので,
 \( 0=-0.4 \times 7+b \)
 \( b=2.8 \)

よって,求める式は,\( y=-0.4x+2.8 \)

 

(2) 秋さんは,次にBを使った。Bには,室内が一定の湿度に達すると「強」から「弱」の設定に自動で切り替わる機能がある。水タンクに \( 3 \; L \) の水を入れた状態から「強」の設定で運転し,途中で「弱」の設定に自動で切り替わり,そのまま「弱」の設定で運転を続けたところ,運転開始からちょうど \( 8 \) 時間後に水タンクの水がなくなった。秋さんは,Bの運転開始からの時間と水タンクの水の量について,次のようにまとめた。


〔秋さんがまとめたこと〕
Bの運転開始から \( x \) 時間後の水タンクの水の量を \( y \; L \) として,図2に水の量の変化をかき入れる。
まず,\( y \) 軸上の点 \( \underline{(0,3)} \) を通り,傾き \( \underline{-0.8} \) の直線をひく。
次に, い  の直線をひく。
このとき,この2本の直線の  う  え  座標は,「強」から「弱」の設定に切り替わった時間を表している。


➀ 秋さんがまとめたことが正しくなるように, い  に当てはまる適切な言葉を,秋さんがまとめたことの下線部のように座標と傾きを具体的に示して書きなさい。また, う  には当てはまる適切な語句を, え  には当てはまる適切な文字を,それぞれ書きなさい。

【解答】
 い  ・・・ 点 \( (8,0) \) を通り,傾き \( -0.3 \)
 う  ・・・ 交点
 え  ・・・ \( x \)

 

➁ Bの設定が「強」から「弱」に切り替わったのは,運転開始から何時間何分後か,求めなさい。

【解答】
\( 1 \) 時間 \( 12 \) 分後
【解説】
2本の直線の交点の座標は,それぞれの直線の式を連立方程式としたときの解として求めることができます。

赤の直線の式は \( y=-0.8x+3 \),
青の直線の式は \( y=-0.3x+2.4 \)
なので,
\( \left\{ \begin{array}{}
y=-0.8x+3 \; ・・・ ① \\
y=-0.3x+2.4 \; ・・・ ➁ \\
\end{array} \right. \)
\( -0.8x+3=-0.3x+2.4 \)
   \( 0.5x=0.6 \)
     \( x=\dfrac{6}{5}=1+\dfrac{1}{5} \) (時間)

\( \dfrac{1}{5} \) 時間 \( =\dfrac{1}{5} \times 60=12 \) 分なので,
求める時間は,\( 1 \) 時間 \( 12 \) 分後

 

Ⅱ 図3は,関数 \( y=\dfrac{1}{4}x^2 \) のグラフ上に,\( x \) 座標が正の数 \( a \) である点 \( A \) をとり,関数 \( y=\dfrac{1}{2}x^2 \) のグラフ上に,点 \( A \) と \( x \) 座標が等しい点 \( B \) と,点 \( B \) と \( y \) 軸について対称な点 \( C \) をとり,\( △ABC \) をつくったものである。

(1) \( a=4 \) のとき,\( AB \) の長さを求めなさい。

【解答】
\( AB=4 \)
【解説】
点 \( A \) は \( y=\dfrac{1}{4}x^2 \) 上の点で,\( x=4 \) なので,
 \( y=\dfrac{1}{4} \times 4^2=4 \)
点 \( B \) は \( y=\dfrac{1}{2}x^2 \) 上の点で,\( x=4 \) なので,
 \( y=\dfrac{1}{2} \times 4^2=8 \)

よって,\( AB=8-4=4 \)

 

(2) \( AB \) と \( BC \) の長さが等しくなるとき,\( a \) の値を求めなさい。

【解答】
\( a=8 \)
【解説】

(1) と同様に考えると,
\( x=a \) のときの点 \( A,B \) の \( y \) 座標の値は,
点 \( A \) の場合が \( y=\dfrac{1}{4}a^2 \),
点 \( B \) の場合が \( y=\dfrac{1}{2}a^2 \)
となるので,
\( AB=\dfrac{1}{2}a^2-\dfrac{1}{4}a^2=\dfrac{1}{4}a^2 \)

また,\( y=\dfrac{1}{2}x^2 \) のグラフは,
\( y \) 軸について対称なので,
点 \( B,C \) の \( y \) 座標は等しいことから,
点 \( C \) の \( x \) 座標は,\( x=-a \) となります。
よって,\( BC=a-(-a)=2a \)

\( AB=BC \) より,
   \( \dfrac{1}{4}a^2=2a \)
    \( a^2=8a \)
 \( a(a-8)=0 \)
     \( a=8 \) (\( a \) は正の数のため)

 

(3) 図4は,図3において \( a=2 \) とし,\( y \) 軸上に,\( y \) 座標が \( 2 \) より大きい点 \( P \) をとったものである。

➀ \( △BCP \) の面積が,\( △ABC \) の面積と等しくなるとき,点 \( P \) の座標を求めなさい。

【解答】
\( P(0,3) \)
【解説】
\( △BCP \) と \( △ABC \) は辺 \( BC \) が共通なので,高さが等しいとき,面積が等しくなります。

線分 \( BC \) と \( y \) 軸の交点を点 \( D \) とすると,
\( △BCP \) の高さは \( PD \),\( △ABC \) の高さは \( AB \) になります。

\( a=2 \) のとき,
点 \( A \) の座標は \( A(2,1) \),
点 \( B \) の座標は \( B(2,2) \)
なので,\( AB=1 \)

点 \( D \) の \( y \) 座標は,点 \( B \) と等しいので,\( 2 \)
よって,点 \( D \) の座標は,\( D(0,2) \)

点 \( P \) は,\( y \) 座標が \( 2 \) より大きく,
\( PD=1 \) となる点なので,\( P(0,3) \)

 

➁ \( △ACP \) の面積が,\( △ABC \) の面積と等しくなるとき,点 \( P \) の座標を求めなさい。

【解答】
\( P \left (0,\dfrac{5}{2} \right) \)
【解説】
\( △ACP \) と \( △ABC \) は辺 \( AC \) が共通なので,高さが等しいとき,面積が等しくなります。
つまり,等積変形の考え方から,\( AC//BP \) となるときの直線 \( BP \) の切片が点 \( P \) になります。

\( a=2 \) のとき,
点 \( A \) の座標は \( A(2,1) \),
点 \( C \) の座標は \( C(-2,2) \)
なので,直線 \( AC \) の傾きは,
 傾き \( =\dfrac{1-2}{2-(-2)}=-\dfrac{1}{4} \)

平行な直線の傾きは等しいので,
直線 \( BP \) の式を \( y=-\dfrac{1}{4}x+b \) とすると,\( B(2,2) \) を通るので,
 \( 2=-\dfrac{1}{4} \times 2+b \)
 \( b=\dfrac{5}{2} \)

よって,\( P \left (0,\dfrac{5}{2} \right) \)

 

大問4

点を動かしたり,図形の大きさを変えたりすることができる数学の作図ソフトがある。桜さんは,その作図ソフトを使って,次の 作図の手順 に従って図1をかき,点 \( P \) を線分 \( AB \) 上で,点 \( A \) から点 \( B \) の向きに動かしたときの図形を観察した。

作図の手順
1 長さが \( 6 \; cm \) の線分 \( AB \) を直径とする円 \( O \) を
  かく。
2 線分 \( AB \) 上に点 \( P \) をとる。ただし,点 \( P \) は
  点 \( A,B \) と重ならないものとする。
3 点 \( B \) を中心として,線分 \( BP \) を半径とする
  円 \( B \) をかく。
4 円 \( O \) と円 \( B \) の交点をそれぞれ \( C,D \) と
  する。
5 点 \( C \) と点 \( D \) を結び,線分 \( AB \) と線分 \( CD \)
  の交点を \( E \) とする。
6 点 \( C \) と3点 \( A,P,B \) をそれぞれ結ぶ。

なお,「点 \( P \) を線分 \( AB \) 上のどこにとっても,線分 \( AB \) と線分 \( CD \) は垂直に交わる。」
このことは,(1)~(4) の解答において証明せずに用いてよい。

(1) 図1において,点 \( P \) を,\( AP=2 \; cm \) の位置にとったとき,\( BC \) の長さを求めなさい。

【解答】
\( 4 \; cm \)
【解説】

\( AB=6 \; cm,AP=2 \; cm \) より,\( BP=4 \; cm \) であり,
線分\( BP,BC \) は,円 \( B \) の半径なので,
\( BC=BP=4 \; cm \)

 

(2) 図2は,図1において,点 \( P \) を円 \( O \) の中心と重なるように動かしたものである。
ただし,円 \( O \) の中心を表す文字 \( O \) を省いて表している。

① \( ∠ACP \) の大きさを求めなさい。

【解答】
\( 30° \)
【解説】

直径 \( AB \) に対する円周角なので,\( ∠ACB=90° \)
点 \( P \) は,円 \( O \) の中心なので,\( BP=3 \; cm \)
円 \( B \) の半径なので,\( BC=BP=3 \; cm \)
条件より,\( AB=6 \; cm \)
よって,\( △ABC \) は,
\( AB:BC=2:1 \) の直角三角形なので,
3つの内角は,\( 30°,60°,90° \) であり,
\( ∠CAP=30° \)

線分 \(AP,CP\) は,円 \( O \) の半径なので,
\( △PAC \) は,二等辺三角形です。
二等辺三角形の底角は等しいので,
\( ∠ACP=∠CAP=30° \)

 

➁ \( CD \) の長さを求めなさい。

【解答】
\( 30° \)
【解説】

線分 \( BP \) は,円 \( O \) の半径なので,\( BP=3 \; cm \)
線分\( BP,BC \) は,円 \( B \) の半径なので,
\( BC=BP=3 \; cm \)

\( △BCE \) は,\( 30°,60°,90° \) の直角三角形になので,
 \( CE=\dfrac{\sqrt{3}}{2}BC=\dfrac{3\sqrt{3}}{2} \; (cm) \)

線分 \( BP \) は,円 \( B \) の半径なので,
\( △BCD \) は二等辺三角形であり,
\( BE⊥CD \) なので,\( △BCE≡△BDE \)
よって,
 \( CD=2CE=3\sqrt{3} \; (cm) \)

【参考】
  \( △BCE \) と \( △BDE \) は
  斜辺と他の1辺がそれぞれ等しいので,
  \( △BCE≡△BDE \)

 

(3) 桜さんは,作図ソフトで何度も点 \( P \) を線分 \( AB \) 上で動かしているうちに,次の2つのことが成り立つのではないかと予想を立てた。

〔予想〕
点 \( P \) を線分 \( AB \) 上のどこにとっても,
1 \( △ABC \) と \( △CBE \) は相似である。
2 線分 \( CP \) は \( ∠ACE \) を二等分する。

桜さんの予想は,図3を用いて,次のようにそれぞれ証明することができる。

予想1の証明
\( △ABC \) と \( △CBE \) で,
 あ  だから,\( ∠ACB=90° \)
\( AB⊥CD \) だから,\( ∠CEB=90° \)
よって, \( ∠ACB=∠CEB \) ・・・ ①
 い 

予想2の証明
 あ  だから,\( ∠ACB=90° \)
\( ∠ACB=∠ACP+∠PCB \) より
 \( ∠ACP=90°-∠PCB \) ・・・ ➀
\( AB⊥CD \) だから,\( △CPE \) は
\( ∠CEB=90° \) の直角三角形であり,
 \( ∠PCE=90°-∠CPE \) ・・・ ➁
 う 
よって,\( ∠PCB=∠ \)  え  ・・・ ➂
➀,➁,➂ より,\( ∠ACP=∠PCE \)
したがって,線分 \( CP \) は \( ∠ACE \) を二等分する。

➀  あ  に当てはまる,\( ∠ACB=90° \) の根拠となることがらを書きなさい。ただし,予想1の証明 の あ と 予想2の証明 あ  には共通なことがらが入る。

【解答】
直径 \( AB \) に対する円周角

 

➁  い  に証明の続きを書き,予想1の証明 を完成させなさい。

【解答】
\( ∠B \) は共通 ・・・ ➁
➀➁より,2組の角がそれぞれ等しいので,
\( △ABC \) ∽ \( △CBE \)

 

➂ 予想2の証明 において, う  には ➂ の根拠となることがらを, え  には最も適切な角を記号を用いて,それぞれ書きなさい。

【解答】
 う  ・・・ 線分 \( BC,BP \) は,円 \( B \) の半径であり,\( △BCP \) は二等辺三角形なので,底角は等しい
 え  ・・・ \( ∠CPE \)

 

(4) 図4は,点 \( P \) を,\( AP=4 \; cm \) の位置まで動かしたものである。このとき,線分 \( DP \) を延長した直線と円 \( O \) の交点を \( G \) とし,点 \( A \) と点 \( G \) を結ぶ。

➀ \( △CEP \) の面積を求めなさい。

【解答】
\( \dfrac{8\sqrt{2}}{9} \; cm^2 \)
【解説】

\( △ABC \) ∽ \( △CBE \) なので,
 \( AB:CB=BC:BE \)
    \( 6:2=2:BE \)
    \( BE=\dfrac{2}{3} \; (cm) \)
\( BP=2 \; cm \) なので,
 \( PE=BP-BE=\dfrac{4}{3} \; (cm) \)

三平方の定理より,
 \( CE^2=BC^2-BE^2 \)
    \( =2^2- \left( \dfrac{2}{3} \right)^2 \)
    \( =\dfrac{32}{9} \)
  \( CE=\dfrac{4\sqrt{2}}{3} \; (cm) \)

 \( △CEP=PE \times CE \times \dfrac{1}{2} \)
     \( =\dfrac{4}{3} \times \dfrac{4\sqrt{2}}{3} \times \dfrac{1}{2} \)
     \( =\dfrac{8\sqrt{2}}{9} \; (cm^2) \)

 

➁ \( △BCP \) と \( △GAP \) の面積の比を求め,最も簡単な整数の比で表しなさい。

【解答】
\( 1:3 \)
【解説】
\( △BCP \) と \( △GAP \) の面積を直接比べるのは難しそうなので,
\( △BCP≡△BDP \) であることを利用し,\( △BDP \) と \( △GAP \) の面積比を求めることにします。

\( △BCP≡△BDP \) なので,
\( △BDP \) と \( △GAP \) に注目すると,
円周角が等しいので,\( ∠DBP=∠AGP \) ・・・ ①
対頂角は等しいので,\( ∠DPB=∠APG \) ・・・ ➁
①➁より,2組の角がそれぞれ等しいので,
\( △BDP \) ∽ \( △GAP \)

ここから,\( △BDP \) と \( △GAP \) の相似比がわかれば,面積比を求めることができます。

\( PE=\dfrac{4}{3} \; cm,DE=CE=\dfrac{4\sqrt{2}}{3} \; cm \) なので,
三平方の定理より,
 \( DP^2=PE^2+DE^2 \)
    \( =\left( \dfrac{4}{3} \right)^2+ \left( \dfrac{4\sqrt{2}}{3} \right)^2 \)
    \( =\dfrac{16}{9}+\dfrac{32}{9} \)
    \( =\dfrac{16}{3} \)
  \( DP=\dfrac{4\sqrt{3}}{3} \; (cm) \)

\( △BDP \) ∽ \( △GAP \),\( DP=\dfrac{4\sqrt{3}}{3} \; cm,AP=4 \; cm \) より,
相似比は,
\( DP:AP=\dfrac{4\sqrt{3}}{3}:4=1:\sqrt{3} \)

相似な三角形の面積比は,相似比の2乗の比になるので,
\( △BDP:△GAP=1^2:\sqrt{3}^2=1:3 \)

よって,\( △BCP≡△BDP \) より,
\( △BCP:△GAP=1:3 \)