埼玉県公立高校入試 令和6(2024)年度(学校選択) 解答&解説

大問1

(1) \( (-6xy^3) \div \left( \dfrac{3}{2}x^2y \right) \times (-5x)^2 \) を計算しなさい。

【解答】
\( -100xy^2 \)
【解説】
\( =\dfrac{(-6xy^3) \times 2 \times (-5x)^2}{3x^2y} \)
\( =-\dfrac{6xy^3 \times 2 \times 25x^2}{3x^2y} \)
\( =-100xy^2 \)

 

(2) \( x=\sqrt{2}+1,y=\sqrt{2}-1 \) のとき,\( xy-x-y+1 \) の値を求めなさい。

【解答】
\( 2-2\sqrt{2} \)
【解説】
\( xy=(\sqrt{2}+1)(\sqrt{2}-1)=1 \)
\( x+y=(\sqrt{2}+1)+(\sqrt{2}-1)=2\sqrt{2} \)
なので,
与式 \( =xy-(x+y)+1 \)
   \( =1-2\sqrt{2}+1 \)
   \( =2-2\sqrt{2} \)

 

(3) 2次方程式 \( 5(x-1)^2+3(x-1)-1=0 \) を解きなさい。

【解答】
\( x=\dfrac{7±\sqrt{29}}{10} \)
【解説】
\( x-1=A \) とすると,
 \( 5A^2+3A-1=0 \)
       \( A=\dfrac{-3±\sqrt{3^2-4 \times 5 \times (-1)}}{2 \times 5} \)
        \( =\dfrac{-3±\sqrt{29}}{10} \)
     \( x-1=\dfrac{-3±\sqrt{29}}{10} \)
       \( x=\dfrac{10-3±\sqrt{29}}{10} \)
        \( =\dfrac{7±\sqrt{29}}{10} \)

 

(4) 右の表は,あるクラスの生徒 \( 20 \) 人が2学期に借りた本の冊数を,度数分布表に表したものです。 この表から読みとることができる内容として正しいものを,次のの中から一つ選び,その記号を書きなさい。

  中央値は \( 8 \) 冊以上 \( 12 \) 冊未満の階級にある。
  \( 8 \) 冊以上 \( 12 \) 冊未満の階級の相対度数は \( 4 \) である。
  最頻値は \( 8 \) である。
  \( 12 \) 冊以上 \( 16 \) 冊未満の階級の累積相対度数は \( 0.85 \) である。

【解答】

【解説】
 全部で \( 20 \) 人分のデータを集計しているので,
  中央値は少ない方から \( 10 \) 番目と \( 11 \) 番目の値の平均値になります。
   \( 8 \) 冊以上 \( 12 \) 冊未満の階級の累積度数は \( 2+3+4=9 \) 人
   \( 12 \) 冊以上 \( 16 \) 冊未満の階級の累積度数は \( 2+3+4+8=17 \) 人
  なので,\( 10 \) 番目と \( 11 \) 番目の値は,どちらも \( 12 \) 冊以上 \( 16 \) 冊未満の階級に含まれます。
  よって,中央値は \( 12 \) 冊以上 \( 16 \) 冊未満の階級にあるので,
  正しくありません。

 ある階級の相対度数は,
   「その階級の度数」\(  \div  \) 「すべての階級の度数の合計」
  で求めることができるので,
  \( 8 \) 冊以上 \( 12 \) 冊未満の階級の相対度数は \( 4 \div 20=0.20 \) であり,
  正しくありません。

 最頻値とは,度数が最も多い(大きい)階級の階級値のことです。
  度数が最も多い(大きい)階級は,\( 12 \) 冊以上 \( 16 \) 冊未満の階級なので,
  最頻値は \( \dfrac{12+16}{2}=14 \) であり,
  正しくありません。

 ある階級の累積相対度数は,
   「その階級の累積度数」\(  \div  \) 「すべての階級の度数の合計」
  で求めることができます。
  \( 12 \) 冊以上 \( 16 \) 冊未満の階級の累積度数は \( 2+3+4+8=17 \) 人なので,
  累積相対度数は \( 17 \div 20=0.85 \) であり,
  正しい。

 

(5) 下の図のように,直線ℓ上に1辺が \( 8 \; cm \) の正三角形を底辺が \( 4 \; cm \) ずつ重なるようにかいていきます。正三角形を \( x \) 個かいたとき,かげ(     )をつけた重なる部分と重ならない部分の面積の比が \( 2:5 \) になりました。このとき,\( x \) の値を求めなさい。

【解答】
\( x=9 \)
【解説】

重なる部分の三角形は底角2つがそれぞれ
1辺 \( 8 \; cm \) の正三角形と共通な角なので,
1辺 \( 4 \; cm \) の正三角形になっています。
2つの正三角形は相似なので,
右の図のように大きい正三角形を区切ると,
1辺 \( 4 \; cm \) の小さい正三角形だけで表すことができます。

ここから,重なる部分と重ならない部分の面積の比は,
かげをつけた小さい正三角形の個数と白の小さい正三角形の個数の比と等しくなるので,
1辺 \( 8 \; cm \) の正三角形を \( x \) 個かいたときの
かげをつけた正三角形の個数と白の正三角形の個数を考えていきます。

例として,大きい正三角形が2個のとき,3個のとき,4個のときを実際に書いてみると,
かげをつけた正三角形の個数と白の正三角形の個数は下の表のようになっています。

かげをつけた正三角形は,
大きい正三角形を1個増やすごとに1個ずつ増えるので,
大きい正三角形を \( x \) 個かいたときの
かげをつけた正三角形の個数は,
\( x-1 \) 個になります。

白の正三角形は,左端の1個と右端の3個は同じで,
大きい正三角形を1個増やすごとに,
真ん中(赤のひし形)の部分の2個ずつが
増えていくので,
大きい正三角形を \( x \) 個かいたときの
かげをつけた正三角形の個数は,
\( 2(x-1)+4=2x+2 \)(個)
になります。

かげをつけた正三角形の個数と白の正三角形の個数の比が \( 2:5 \) になるので,
 \( (x-1):(2x+2)=2:5 \)
      \( 5(x-1)=2(2x+2) \)
       \( 5x-5=4x+4 \)
          \( x=9 \)

 

(6) 右の図のような平行四辺形 \( ABCD \) があり,辺 \( AD,CD \) の中点をそれぞれ \( E,F \) とします。線分 \( AC \) と線分 \( BE \) との交点を \( G \) とするとき,\( △ABG \) の面積は \( △DEF \) の面積の何倍になるか求めなさい。

【解答】
\( \dfrac{4}{3} \) 倍
【解説】

\( △DEF \) の面積を \( S \) とすると,
\( AE=ED \) より,
\( △ABE \) は,底辺が \( △DEF \) と等しく,
高さが \( △DEF \) の2倍なので,
面積は \( 2S \) と表すことができます。

\( △GAE \) ∽ \( △GCB \) なので,
 \( GE:GB=AE:CB=1:2 \)
\( △ABG \) と \( △ABE \) は高さが共通なので,
\( △ABG:△ABE=GB:BE=2:3 \)
であり,
 \( △ABG=\dfrac{2}{3}△ABE=\dfrac{2}{3} \times 2S=\dfrac{4}{3}S \)

 

(7) 右の図のように,関数 \( y=ax^2 \) のグラフと,傾きが \( \dfrac{1}{2} \) である一次関数のグラフが,2点 \( A,B \) で交わっています。点 \( A \) の \( x \) 座標が \( -2 \),点 \( B \) の \( x \) 座標が \( 4 \) であるとき,この一次関数の式を求めなさい。

【解答】
\( y=\dfrac{1}{2}x+2 \)

【解説】

点 \( A \) の \( y \) 座標は,
 \( y=a \times (-2)^2=4a  \)
点 \( B \) の \( y \) 座標は,
 \( y=a \times 4^2=16a  \)
と表すことができます。

直線 \( AB \) の傾きが \( \dfrac{1}{2} \) なので,
 \( \dfrac{16a-4a}{4-(-2)}=\dfrac{1}{2} \)
     \( 2a=\dfrac{1}{2} \)
      \( a=\dfrac{1}{4} \)

このとき,点 \( B \) の \( y \) 座標は,\( y=16a=4 \) であり,
直線 \( AB \) の式を \( y=\dfrac{1}{2}x+b \) とすると,\( B(4,4) \) を通るので,
 \( 4=\dfrac{1}{2} \times 4+b \)
 \( b=2 \)

よって,求める直線の式は \( y=\dfrac{1}{2}x+2 \)

 

(8) 右の図のような,\( AB=AC=2 \; cm,∠BAC=90° \) の \( △ABC \) があり,頂点 \( C \) を通り,辺 \( BC \) に垂直な直線をひきます。このとき,\( △ABC \) を,直線を軸として1回転させてできる立体の体積を求めなさい。

【解答】
\( 4\sqrt{2}\pi{} \; cm^3 \)

【解説】

辺 \( AB \) を延長したときの直線との交点を
\( D \) とすると,
\( △BCD \) は,\( BC=CD,∠BCD=90° \) の
直角二等辺三角形であり,
これを直線ℓを軸として1回転させると,
 \( BC=CD=\sqrt{2}AB=2\sqrt{2} \; (cm) \)
より,底面の半径と高さが \( 2\sqrt{2} \; cm \) の円すい
になります。

この円すいの体積は,
 \( \pi{} \times (2\sqrt{2})^2 \times 2\sqrt{2} \times \dfrac{1}{3}=\dfrac{16\sqrt{2}}{3} \pi{} \; (cm^3) \)

また,\( △ACD \) は,\( AC=AD,∠BCD=90° \) の直角二等辺三角形であり,
これを直線ℓを軸として1回転させると,
 \( AE=CE=DE=\dfrac{AC}{\sqrt{2}}=\sqrt{2} \; (cm) \)
より,底面の半径と高さが \( \sqrt{2} \; cm \) の円すいを
2個くっつけた立体になります。

この立体の体積は,
 \( \pi{} \times (\sqrt{2})^2 \times \sqrt{2} \times \dfrac{1}{3} \times 2=\dfrac{4\sqrt{2}}{3} \pi{} \; (cm^3) \)

よって,求める立体の体積は,
 \( \dfrac{16\sqrt{2}}{3} \pi{}-\dfrac{4\sqrt{2}}{3} \pi{}=4\sqrt{2}\pi{} \; (cm^3) \)

 

(9) 右の図のように,円周の長さを10等分する点 \( A \) ~ \( J \) があります。 線分 \( AE \) と線分 \( BH \) との交点を \( K \) とするとき,\( ∠AKH \) の大きさ \( x \) を求めなさい。

【解答】
\( ∠x=108° \)

【解説】

この円の中心を \( O \) とし,補助線 \( AH \) をひくと,
\( \stackrel{\huge\frown}{ AB } \) の中心角は,
 中心角 \( ∠AOB=360° \times \dfrac{1}{10}=36° \)
\( \stackrel{\huge\frown}{ EH } \) は,\( \stackrel{\huge\frown}{ AB } \) の3倍の長さなので,
 中心角 \( ∠EOH=36° \times 3=108° \)

\( ∠AHK \) は,\( \stackrel{\huge\frown}{ AB } \) に対する円周角なので,
 \( ∠AHK=\dfrac{1}{2}∠AOB=18° \)
\( ∠KAH \) は,\( \stackrel{\huge\frown}{ EH } \) に対する円周角なので,
 \( ∠KAH=\dfrac{1}{2}∠EOH=54° \)

\( △AHK \) において,
 \( ∠x=180°-(∠AHK+∠KAH)=108° \)

 

 

(10) 次は,先生とSさん,Tさんの会話です。これを読んで,下の問に答えなさい。


先 生 「わたしたちの中学校では,校庭にある桜の開花日を生徒会の役員が毎年記録しています。
     次の図は,1961年から2020年までの記録を,3月15日を基準日としてその何日後に
     開花したかを,期間 ① から期間 ④ の15年ごとの期間に分け,箱ひげ図にそれぞれ表した
     ものです。これを見て,気づいたことを話し合ってみましょう。」

Sさん 「4つの箱ひげ図を見ると,桜の開花日は60年間でだんだん早くなっているようだね。」

Tさん 「だけど,期間 ①と期間 ② の箱ひげ図は,最も早い開花日と最も遅い開花日が同じ位置だよ。
     それでも,開花日は早くなっているといえるのかな。」

Sさん 「期間 ①と期間 ② の箱ひげ図を比べると,
     \( \boxed{ \phantom{ \\                                                                     \\ \\}} \)
     から,期間 ① より期間 ② の方が,開花日は早くなっているといえると思うよ。」


問 会話中の \( \boxed{ \phantom{    }} \) にあてはまる, 開花日が早くなっていると考えられる理由を,第1四分位数,第3四分位数という二つの語を使って説明しなさい。

【解答】
第1四分位数と第3四分位数の値がどちらも期間 ① より期間 ② の方が小さく,基準日に近い
【解説】
箱の部分には,全体の約 \( 50 \; \% \) の値が含まれているので,
期間 ① では,15年のうち,7~8年程度は基準日の22~26日後に開花していたと判断できます。
期間 ➁ では,15年のうち,7~8年程度は基準日の18~22日後に開花していたと判断できます。

 

大問2

(1) 右の図のように, \( ∠ABC=90° \) となる3点 \( A,B,C \) があります。このとき,線分 \( AC \) が対角線となり,\( AB // PC,AB:PC=2:3 \) であるような台形 \( ABCP \) の頂点 \( P \) をコンパスと定規を使って作図しなさい。
ただし,作図するためにかいた線は,消さないでおきなさい。

【解答】

手順1 点 \( C \) を中心に円弧を描く。
(直線 \( BC \) との交点を \( D,E \) とします。)
手順2 2点 \( D,E \) を中心に円弧を描く。
(交点を \( F \) とします。)
手順3 2点 \( C,F \) を通る直線を描く。
手順4 点 \( C \) を中心に線分 \( AB \) を半径とする円弧を描く。
(直線 \( CF \) との交点を \( G \) とします。)
手順5 点 \( G \) を中心に線分 \( AB \) を半径とする円弧を描く。
(直線 \( CF \) との交点を \( H \) とします。)
手順6 2点 \( G,H \) を中心に円弧を描く。
(交点を \( I,J \) とします。)
手順7 2点 \( I,J \) を通る直線を描く。

手順3と手順7の直線の交点が求める点 \( P \) になります。

 

【解説】
\( ∠ABC=90°,AB // PC \) より,
点 \( P \) は,「点 \( C \) を通り,直線 \( BC \) と垂直な直線」上にあることがわかります。

次に,\( AB:PC=2:3 \) である点 \( P \) は,
直線 \( BC \) の上側と下側にとることができますが,
線分 \( AC \) が対角線になるという条件があるので,
直線 \( BC \) の上側に決まります。
(下側の場合,右図のとおり,線分 \( AC \) は対角線になりません)

\( AB:PC=2:3 \) である点 \( P \) は,
点 \( C \) を中心に線分 \( AB \) を半径とする円弧を描くことで,
\( AB=CG \) となる線分 \( CG \) を作図できます。
さらに,点 \( G \) を中心に線分 \( AB \) を半径とする円弧を描くことで,
\( AB=GH \) となる線分 \( GH \) を作図できます。
このとき,\( AB:CH=2:4 \) になっているので,
線分 \( GH \) の垂直二等分線を描くことで,
\( AB:PC=2:3 \) である点 \( P \) が作図できます。

 

(2) 右の図のように,直角三角形 \( ABC \) の辺 \( AB \) を1辺とする正方形 \( ADEB \) と,辺 \( AC \) を1辺とする正方形 \( ACFG \) があります。線分 \( GB \) と,辺 \( AC \),線分 \( CD \) との交点をそれぞれ \( H,I \) とするとき,\( ∠CIH=90° \) であることを証明しなさい。

【解答】

\( △ACD \) と \( △AGB \) において,
正方形の辺の長さは等しいので,
 \( AD=AB \) ・・・ ➀
 \( AC=AG \) ・・・ ➁
正方形の内角は \( 90° \) なので,
 \( ∠CAD=90°+∠CAB \) ・・・ ③
 \( ∠GAB=90°+∠CAB \) ・・・ ➃
③➃より,
 \( ∠CAD=∠GAB \) ・・・ ➄
①②➄より,
2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので,
 \( △ACD≡△AGB \) ・・・ ⑥

\( △CIH \) と \( △GAH \) において,
⑥より,合同な三角形の対応する角は等しいので,
 \( ∠ACD=∠AGB \) ・・・ ➆
対頂角は等しいので,
 \( ∠CHI=∠GHA \) ・・・ ⑧
➆⑧より,2組の角がそれぞれ等しいので,
 \( △CIH \) ∽ \( △GAH \)
相似な三角形の対応する角は等しいので,
 \( ∠CIH=∠GAH=90° \)

\( △CIH \) と \( △GAH \)の周辺を拡大

 

大問3

次は,ある数学の【問題】について,先生とFさん,Gさんが会話している場面です。これを読んで,あとの各問に答えなさい。


先 生 「次の【問題】について,考えてみましょう」

【問題】
右の図のように \( x \) 軸上を点 \( P \) が原点 \( O \) から点 \( A(5,0) \) まで動きます。点 \( P \) の \( x \) 座標を \( t \; (0≦t≦5) \) として,点 \( P \) を通り \( y \) 軸に平行な直線をとしたとき,直線と直線 \( y=x \) との交点を \( Q \),直線と放物線 \( y=\dfrac{1}{3}x^2 \) との交点を \( R \) とします。
\( PQ:RQ=4:1 \) になるときの点 \( P \) の \( x \) 座標をすべて求めなさい。

Fさん 「線分 \( PQ \) と線分 \( RQ \) の長さの比ではなく,線分 \( PQ \) と線分 \( PR \) の長さの比を考えれば
     わかりやすいかな。」

Gさん 「そうだね。点 \( Q \) と点 \( R \) の \( x \) 座標はそれぞれ \( t \) なので,点 \( Q \) の \( y \) 座標は  ア 
     点 \( R \) の \( y \) 座標は  イ  になるよ。これで,線分 \( PQ \) の長さと線分 \( PR \) の長さを
     それぞれ \( t \) で表すことができるね。」

Fさん 「そうすると,\( t=0,3 \) の場合は線分 \( RQ \) の長さが \( 0 \) だから,除いて考える必要があるね。
     \( 0<t<3 \) の場合,\( PQ:RQ=4:1 \) という条件にあてはまるのは,\( PQ:PR=4:3 \)
     かな。」

Gさん 「そうだね。でも \( 3<t≦5 \) の場合は,\( PQ:PR=4:3 \) だと,その条件にあてはまらないよ。

Fさん 「なるほど。すると \( 3<t≦5 \) の場合も,線分 \( PQ \) と線分 \( PR \) の長さの比を正しく表す
     ことができれば,【問題】 は解けそうだね。」

先 生 「そのとおりです。それでは,【問題】を解いてみましょう。」


(1)  ア  イ  にあてはまる式を,\( t \) を使って表しなさい。

【解答】
 ア  ・・・ \( t \)
 イ  ・・・ \( \dfrac{1}{3}t^2 \)

 

(2) 下線部の理由を,点 \( Q \) と点 \( R \) の \( y \) 座標にふれながら説明しなさい。

【解答】
\( 3<t≦5 \) の場合,点 \( R \) の \( y \) 座標は,点 \( Q \) の \( y \) 座標より大きいから
【解説】
点 \( R \) の \( y \) 座標は,点 \( Q \) の \( y \) 座標より大きいので,
線分 \( PQ \) より線分 \( PR \) の長さの方が長くなります。
つまり,\( PQ:RQ=4:1 \) になるとき,\( PQ:PR=4:5 \) になります。

 

(3) \( PQ:RQ=4:1 \) になるときの点 \( P \) の \( x \) 座標をすべて求めなさい。

【解答】
\( x=\dfrac{9}{4},\dfrac{15}{4} \)
【解説】

\( 0<t<3 \) の場合,
 \( PQ:PR=4:3 \)
  \( t:\dfrac{1}{3}t^2=4:3 \)
     \( 3t=\dfrac{4}{3}t^2 \)
     \( 9t=4t^2 \)
  \( 4t^2-9t=0 \)
 \( t(4t-9)=0 \)
     \( t=\dfrac{9}{4} \) ( \( t>0 \) より)

\( 3<t≦5 \) の場合,
  \( PQ:PR=4:5 \)
   \( t:\dfrac{1}{3}t^2=4:5 \)
     \( 5t=\dfrac{4}{3}t^2 \)
     \( 15t=4t^2 \)
  \( 4t^2-15t=0 \)
 \( t(4t-15)=0 \)
      \( t=\dfrac{15}{4} \) ( \( 3<t≦5 \) より)

 

大問4

右の図のように,正方形 \( ABCD \) の頂点 \( A \) に点 \( P \) があります。硬貨を投げ,次の【ルール】に従って,点 \( P \) を,反時計回りに正方形 \( ABCD \) の頂点上を動かす操作を行うとき,あとの各問に答えなさい。
ただし,硬貨の表と裏の出かたは,同様に確からしいものとします。

【ルール】
[1] 1枚の硬貨を投げ,表が出たら頂点2つ分,裏が出たら
    頂点1つ分,点 \( P \) は進んで止まる。
[2] [1]をくり返し,点 \( P \) が再び頂点 \( A \) に止まった
    とき,操作は終了する。

(1) 硬貨を2回投げたときに,操作が終了する確率を求めなさい。

【解答】
\( \dfrac{1}{4} \)
【解説】

硬貨の表と裏の組み合わせとその行先を樹形図に書き出すと,
硬貨を2回投げたときに,
頂点 \( A \) に止まる組み合わせは \( 1 \) 通り,
すべての組み合わせは \( 4 \) 通りなので,
求める確率は \( \dfrac{1}{4} \)

 

(2) 次のに答えなさい。

 点 \( P \) が正方形 \( ABCD \) をちょうど1周したところで,操作が終了する場合の数は何通りあるか求めなさい。

【解答】
\( 5 \) 通り
【解説】
硬貨の表と裏の出かたの組み合わせとその行先を樹形図に書き出すと下の図のようになります。

   

 

 点 \( P \) が正方形 \( ABCD \) をちょうど2周したところで,操作が終了する場合の数は何通りあるか求めなさい。

【解答】
\( 9 \) 通り
【解説】
硬貨の表と裏の出かたの組み合わせとその行先を樹形図に書き出すと下の図のようになります。


 

大問5

図1のような,1辺の長さが \( 6 \; cm \) の正方形を底面とし,高さが \( 12 \; cm \) の透明でふたのない直方体の容器 \( ABCD-EFGH \) を水で満たし,水平な床の上に置きました。このとき,次の各問に答えなさい。
ただし,容器の厚さは考えないものとします。

(1) 辺 \( FG \) を床につけたまま,図2のように,線分 \( AF \) が床と垂直になるように容器を傾けて,水をこぼしました。
このとき,容器に残っている水の体積を求めなさい。

【解答】
\( 378 \; cm^3 \)

【解説】

 \( ∠AEF=∠BIA=90°,∠AFE=∠BAI \)
より,\( △AEF \) ∽ \( △BIA \) になっています。

\( △AEF \) において,三平方の定理より,
 \( AF^2=12^2+6^2=180 \)
  \( AF=6\sqrt{5} \; (cm) \)
なので,
 \( EF:IA=AF:BA \)
  \( 6:IA=6\sqrt{5}:6 \)
  \( 6\sqrt{5}IA=36 \)
    \( IA=\dfrac{6}{\sqrt{5}} \; (cm) \)

\( ∠BAJ=∠AEF=90°,∠ABJ=∠EAF \)
より,\( △BAJ \) ∽ \( △AEF \)
なので,
  \( BJ:AF=BA:AE \)
 \( BJ:6\sqrt{5}=6:12 \)
   \( 12BJ=36\sqrt{5} \)
    \( BJ=3\sqrt{5} \; (cm) \)

容器 \( ABCD-EFGH \) の容積 \( V_1 \) は,
 \( V_1=6 \times 6 \times 12=432 \; (cm^3) \)

三角柱 \( ABJ-DCK \) の体積は,
 \( V_2=\left( 3\sqrt{5} \times \dfrac{6}{\sqrt{5}} \times \dfrac{1}{2} \right) \times 6=54 \; (cm^3) \)

よって,容器に残っている水の体積は,
 \( V_1-V_2=432-54=378 \; (cm^3) \)

 

(2) 辺 \( FG \) を床につけたまま,図3のように,線分 \( AF \) が床と \( 45° \) になるように容器をさらに傾けて,水をこぼしました。点 \( A \) から床に垂線をひき,床との交点を \( P \),水面と線分 \( AP \) との交点を \( Q \) とするとき,床から水面までの高さ \( PQ \) を求めなさい。

【解答】
\( PQ=\dfrac{6\sqrt{10}}{5} \; cm \)

【解説】
\( ∠APF=90°,∠AFP=45° \) より,\( △AFP \) は直角二等辺三角形なので,
 \( AP=\dfrac{1}{\sqrt{2}}AF=3\sqrt{10} \; (cm) \)

\( F \) から水面に垂線をひき,交点を \( R \) とすると,
\( ∠BRF=∠AQB=90°,∠FBR=∠BAQ \)
より,
\( △BFR \) ∽ \( △ABQ \) になっています。

\( PQ=x \; cm \) とすると,\( FR=x \; cm \) なので,
 \( FR:BQ=BF:AB \)
  \( x:BQ=12:6 \)
    \( BQ=\dfrac{x}{2} \; (cm) \)

\( △ABQ \) において,三平方の定理より,
   \( \left( \dfrac{x}{2} \right)^2+(3\sqrt{10}-x)^2=6^2 \)
 \( \dfrac{x^2}{4}+(x^2-6\sqrt{10}x+90)=36 \)
    \( \dfrac{5}{4}x^2-6\sqrt{10}x+54=0 \)
   \( 5x^2-24\sqrt{10}x+216=0 \)
 \( x=\dfrac{-(-24\sqrt{10})±\sqrt{(-24\sqrt{10})^2-4 \times 5 \times 216}}{2 \times 5} \)
 \( =\dfrac{24\sqrt{10}±\sqrt{1440}}{10} \)
 \( =\dfrac{12\sqrt{10}±6\sqrt{10}}{5} \)
 \( =\dfrac{6\sqrt{10}}{5} \; (cm) \)  (\( 0<x<6 \) より)