東京都公立高校入試 令和5(2023)年度 解答&解説

大問1

〔問1〕 \( -8+6^2 \div 9 \) を計算せよ。

【解答】
\( -4 \)
【解説】
\( =-8+36 \div 9 \)
\( =-8+4 \)
\( =-4 \)

 

〔問2〕 \( \dfrac{7a+b}{5}-\dfrac{4a-b}{3} \) を計算せよ。

【解答】
\( \dfrac{a+8b}{15} \)
【解説】
\( =\dfrac{3(7a+b)-5(4a-b)}{15} \)
\( =\dfrac{21a+3b-20a+5b}{15} \)
\( =\dfrac{a+8b}{15} \)

 

〔問3〕 \( (\sqrt{6}-1) (2\sqrt{6}+9) \) を計算せよ。

【解答】
\( 3+7\sqrt{6} \)
【解説】
\( =12+9\sqrt{6}-2\sqrt{6}-9 \)
\( =3+7\sqrt{6} \)

 

〔問4〕 一次方程式 \( 4(x+8)=7x+5 \) を解け。

【解答】
\( x=9 \)
【解説】
\( 4x+32=7x+5 \)
   \( 3x=27 \)
   \( x=9 \)

 

〔問5〕 連立方程式  \( \left\{ \begin{array}{}
2x+3y=1 \\
8x+9y=7 \\
\end{array} \right.  \) を解け。

【解答】
\( x=2,y=-1 \)
【解説】
\( \left\{ \begin{array}{}
2x+3y=1 \;\; ・・・ \;\;➀ \\
8x+9y=7 \;\; ・・・ \;\;➁ \\
\end{array} \right.  \)
➁ \( – \) ➀ \(  \times 3 \)
 \( 2x=4 \)
  \( x=2 \)
➀ に代入すると,
 \( 2 \times 2+3y=1 \)
     \( 3y=-3 \)
      \( y=-1 \)

 

〔問6〕 二次方程式 \( 2x^2-3x-6=0 \) を解け。

【解答】
\( x=\dfrac{3±\sqrt{57}}{4} \)
【解説】
この二次方程式を \( ax^2+bx+c=0 \) と考えると, \( a=2,b=-3,c=-6 \) なので,
解の公式より,
 \( x=\dfrac{-(-3)±\sqrt{(-3)^2-4 \times 2 \times (-6)}}{2 \times 2} \)
  \( =\dfrac{3±\sqrt{9+48}}{4} \)
  \( =\dfrac{3±\sqrt{57}}{4} \)

 

〔問7〕 次の \( \fbox{あ},\fbox{い} \) に当てはまる数字をそれぞれ答えよ。

袋の中に,赤玉が1個,白玉が1個,青玉が4個,合わせて6個の玉が入っている。
この袋の中から同時に2個の玉を取り出すとき,2個とも青玉である確率は, \( \dfrac{\;\;\fbox{あ}\;\;}{\;\;\fbox{い}\;\;} \) である。
ただし,どの玉が取り出されることも同様に確からしいものとする。
【解答】
\( \fbox{あ} \) ・・・  \( 2 \)
\( \fbox{い} \) ・・・  \( 5 \)
【解説】
袋の中の青玉に「青1,青2,青3,青4」と名前をつけ,取り出した玉の組み合わせを樹形図にして書き出し,
2個とも青玉である組み合わせのところに  をつけてみます。
このとき,2個とも青玉である組み合わせは6通り,すべての組み合わせは15通りなので,
求める確率は,\( \dfrac{6}{15}=\dfrac{2}{5} \)

 

〔問8〕 次の \( \fbox{うえ} \) に当てはまる数字をそれぞれ答えよ。

右の図1で,点 \( O \) は,線分 \( AB \) を直径とする半円の中心である。
点 \( C \) は, 弧 \( AB \) 上にある点で,点 \( A \),点 \( B \) のいずれにも一致しない。
点 \( D \) は, 弧 \( AC \) 上にある点で,点 \( A \),点 \( C \) のいずれにも一致しない。
点 \( A \) と点 \( C \),点 \( A \) と点 \( D \),点 \( B \) と点 \( C \),点 \( B \) と点 \( D \),
点 \( C \) と点 \( D \) をそれぞれ結ぶ。
\( ∠BAC=20°,∠CBD=30° \) のとき,\( x \) で示した \( ∠ACD \) の大きさは,\( \fbox{うえ} \) 度である。

【解答】
\( \fbox{うえ} \) ・・・  \( 40 \)
【解説】

ともに弧 \( CD \) に対する円周角なので,
 \( ∠CAD=∠CBD=30° \)
直径に対する円周角なので,
 \( ∠ADB=90° \)
三角形の内角の和は \( 180° \) なので,
 \( ∠ABD=180°-(90°+50°)=40° \)
ともに弧 \( AD \) に対する円周角なので,
 \( ∠ACD=∠ABD=40° \)

 

〔問9〕 右の図2で,円 \( O \) と直線 \( l \) は交わっていない。解答欄に示した図をもとにして,円 \( O \) の周上にあり,直線 \( l \) との距離が最も長くなる点 \( P \) を,定規とコンパスを用いて作図によって求め,
点 \( P \) の位置を示す文字Pも書け。
ただし,作図に用いた線は消さないでおくこと。

【解答】

手順1 点 \( O \) を中心に円弧を描く
    (直線 \( l \) との交点を \( A,B \) とします)
手順2 点 \( A,B \) を中心に円弧を描く
    (交点を \( C \) とします)
手順3 2点 \( O,C \) を通る直線を描く

手順3の直線と円 \( O \) の交点のうち,
直線 \( l \) から遠い方が求める点 \( P \) になります。

【解説】

直線 \( l \) を円 \( O \) に近づける方向に動かしていくと,
直線 \( l \) が円 \( O \) の接線になるときの接点 \( P’ \) で
初めて直線 \( l \) と円 \( O \) が接触します。

さらに直線 \( l \) を動かしていくと,
最後に直線 \( l \) と円 \( O \) が接触する点 \( P \) は,
直線 \( l \) が円 \( O \) の接線になるときの接点になります。

円の中心を通る直線と接線は,接点において垂直に交わるので,
「点 \( O \) を通り,直線 \( l \) と垂直な直線」と円 \( O \) の交点のうち,
直線 \( l \) から遠い方が求める点 \( P \) になります。

 

大問2

Sさんのクラスでは,先生が示した問題をみんなで考えた。
次の各問に答えよ。


【先生が示した問題】
\( a,b \) を正の数とし,\( a>b \) とする。
右の図1で,四角形 \( ABCD \) は,1辺の長さが \( a \; cm \) の正方形である。頂点 \( A \) と頂点 \( C \),頂点 \( B \) と頂点 \( D \) をそれぞれ結び,線分 \( AC \) と線分 \( BD \) との交点を \( E \) とする。
線分 \( AE \) 上にあり,頂点 \( A \),点 \( E \) のいずれにも一致しない点を \( F \) とする。
線分 \( BE \),線分 \( CE \),線分 \( DE \) 上にあり,\( EF=EG=EH=EI \) となる点をそれぞれ \( G,H,I \) とし,点 \( F \) と点 \( G \),点 \( F \) と点 \( I \),点 \( G \) と点 \( H \),点 \( H \) と点 \( I \) をそれぞれ結ぶ。
線分 \( AF \),線分 \( BG \),線分 \( CH \),線分 \( DI \) の中点をそれぞれ \( P,Q,R,S \) とし,点 \( P \) と点 \( Q \),点 \( P \) と点 \( S \),点 \( Q \) と点 \( R \),点 \( R \) と点 \( S \) をそれぞれ結ぶ。
線分 \( FG \) の長さを \( b \; cm \),四角形 \( PQRS \) の周の長さを \( l \; cm \) とするとき,\( l \) を \( a,b \) を用いた式で表しなさい。


〔問1〕 【先生が示した問題】で,\( l \) の値を \( a,b \) を用いて \( l= \)     \( cm \) と
表すとき,    に当てはまる式を,次ののうちから選び,記号で答えよ。

      \( 2a+2b \)      \( \dfrac{a+b}{2} \)      \( \dfrac{a-b}{2} \)      \( 2a-2b \)

【解答】
  \( 2a+2b \)
【解説】
正方形の2本の対角線は,それぞれの中点で垂直に交わるので,
\( △ABE \) は直角二等辺三角形になっています。
また,同様の考え方で,\( EF=EG=EH=EI \) より,四角形 \( FGHI \) は正方形であり,
\( △FGE \) は直角二等辺三角形になっています。

\( △ABE \) は直角二等辺三角形なので,
\( AB:AE=\sqrt{2}:1 \) であり,
 \( AE=\dfrac{AB}{\sqrt{2}}=\dfrac{a}{\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{2}a}{2} \; (cm) \)

また,\( △FGE \) は直角二等辺三角形なので,
\( FG:FE=\sqrt{2}:1 \) であり,
 \( FE=\dfrac{FG}{\sqrt{2}}=\dfrac{b}{\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{2}b}{2} \; (cm) \)

点 \( P \) は線分 \( AF \) の中点なので,
 \( PF=\dfrac{AE-EF}{2}
\)
   \( =\dfrac{\dfrac{\sqrt{2}a}{2}-\dfrac{\sqrt{2}b}{2}}{2} \)
   \( =\dfrac{\sqrt{2}(a-b)}{4} \; (cm) \)

\( AE=BE,EF=EG \) より,\( PF=QG \) なので,
\( PE=QE \) であり,\( △PQE \) も直角二等辺三角形になっています。

ここから,\( PQ:PE=\sqrt{2}:1 \) であり,
 \( PQ=\sqrt{2}PE \)
   \( =\sqrt{2}\left\{ \dfrac{\sqrt{2}(a-b)}{4}+\dfrac{\sqrt{2}b}{2} \right\} \)
   \( =\sqrt{2} \times \dfrac{\sqrt{2}(a+b)}{4} \)
   \( =\dfrac{a+b}{2} \; (cm) \)

ここまでと同様の考え方から,\( PE=QE=RE=SE \) であり,四角形 \( PQRS \) も正方形なので,
 \( l=4PQ=4 \times \dfrac{a+b}{2}=2(a+b)=2a+2b \; (cm) \)

 

Sさんのグループは,【先生が示した問題】をもとにして,次の問題を考えた。


【Sさんのグループが作った問題】
\( a,b \) を正の数とし,\( a>b \) とする。
右の図2は,線分 \( OA \) 上にあり,点 \( O \),点 \( A \) のいずれにも一致しない点を \( B \),線分 \( AB \) の中点を \( M \) とし,線分 \( OA \),線分 \( OB \),線分 \( OM \) を,それぞれ点 \( O \) を中心に反時計回りに \( 90° \) 回転移動させてできた図形である。
図2において,線分 \( OA \) の長さを \( a \; cm \),線分 \( OB \) の長さを \( b \; cm \),線分 \( OM \) を半径とするおうぎ形の弧の長さを \( l \; cm \),線分 \( OA \) を半径とするおうぎ形から,線分 \( OB \) を半径とするおうぎ形を除いた残りの図形の面積を \( S \; cm^2 \) とするとき,\( S=(a-b)l \) となることを確かめてみよう。


 

〔問2〕 [Sさんのグループが作った問題] で,\( l \) を \( a,b \) を用いた式で表し,\( S=(a-b)l \) となることを証明せよ。
ただし,円周率は \( \pi{} \) とする。

【解答】
線分 \( OA \) を半径とするおうぎ形の面積を \( S_1 \) とすると,\( S_1=\dfrac{\pi{}}{4}a^2 \; (cm^2) \)
線分 \( OB \) を半径とするおうぎ形の面積を \( S_1 \) とすると,\( S_2=\dfrac{\pi{}}{4}b^2 \; (cm^2) \)
と表せるので,
 \( S=S_1-S_2=\dfrac{\pi{}}{4}(a^2-b^2) \; (cm^2) \) ・・・ ➀

点 \( M \) は,線分 \( AB \) の中点なので,
 \( OM=OB+BM=b+\dfrac{a-b}{2}=\dfrac{a+b}{2} \; (cm) \)
このとき,線分 \( OM \) を半径とするおうぎ形の弧の長さは,
 \( l=\dfrac{1}{4} \times 2\pi{}OM=\dfrac{\pi{}}{4}(a+b) \; (cm) \)
と表せるので,
 \( (a-b)l=\dfrac{\pi{}}{4}(a-b)(a+b)=\dfrac{\pi{}}{4}(a^2-b^2) \; (cm^2) \) ・・・ ➁
➀➁より,\( S=(a-b)l \)

 

大問3

 

右の図1で,点 \( O \) は原点,点 \( A \) の座標は \( (3,-2) \) であり,直線 \( l \) は一次関数 \( y=\dfrac{1}{2}x+1 \) のグラフを表している。
直線 \( l \) と \( x \) 軸との交点を \( B \) とする。
直線 \( l \) 上にある点を \( P \) とし,2点 \( A,P \) を通る直線を \( m \) とする。
次の各問に答えよ。

〔問1〕 点 \( P \) の \( y \) 座標が \( -1 \) のとき,点 \( P \) の \( x \) 座標を,次ののうちから選び,記号で答えよ。

     \( -1 \)      \( -\dfrac{5}{2} \)      \( -3 \)      \( -4 \)

【解答】
  \( -4 \)
【解説】
点 \( P \) は,直線 \( l \) 上の点なので,\( y=\dfrac{1}{2}x+1 \) に \( y=-1 \) を代入すると,
 \( -1=\dfrac{1}{2}x+1 \)
 \( -2=x+2 \)
  \( x=-4 \)

 

〔問2〕 次の \( \fbox{ ➀ } \) と \( \fbox{ ➁ } \) に当てはまる数を,下ののうちからそれぞれ選び,記号で答えよ。

線分 \( BP \) が \( y \) 軸により二等分されるとき,直線 \( m \) の式は,
 \( y= \fbox{ ➀ } \; x+ \; \fbox{ ➁ } \)
である。

\( \fbox{ ➀ } \)    \( -6 \)      \( -4 \)      \( -3 \)      \( -\dfrac{5}{2} \)
\( \fbox{ ➁ } \)    \( 5 \)       \( \dfrac{11}{2} \)      \( 7 \)       \( 10 \)

【解答】
\( \fbox{ ➀ } \) ・・・   \( -4 \)
\( \fbox{ ➁ } \) ・・・   \( 10 \)
【解説】

点 \( B \) は,直線 \( l \) 上の点で,\( x \) 軸との交点なので,
点 \( B \) の座標は \( B(-2,0) \) になります。

線分 \( BP \) が \( y \) 軸により二等分されるということは,
直線 \( l \) と \( y \) 軸の交点 \( (0,1) \) が
線分 \( BP \) の中点になるので,
点 \( P \) の \( x \) 座標を \( t \) とすると,
 \( \dfrac{-2+t}{2}=0 \)
 \( -2+t=0 \)
   \( t=2 \)

点 \( P \) の \( x \) 座標が \( 2 \) のときの \( y \) 座標の値は,
 \( y=\dfrac{1}{2} \times 2+1=2 \)
なので,点 \( P \) の座標は \( P(2,2) \) となります。

直線 \( m \) は,\( P(2,2),A(3,-2) \) を通るので,
 傾き \( \fbox{ ➀ } =\dfrac{-2-2}{3-2}=-4 \)
\( y=-4x+\fbox{ ➁ } \) に \( x=2,y=2 \) を代入すると,
   \( 2=-4 \times 2+\fbox{ ➁ } \)
 \( \fbox{ ➁ }=10 \)

 

〔問3〕 右の図2は,図1において,点 \( P \) の\( x \) 座標が \( 0 \) より大きい数であるとき,\( y \) 軸を対称の軸として点 \( P \) と線対称な点を \( Q \) とし,点 \( A \) と点 \( B \),点 \( B \) と点 \( Q \),点 \( P \) と点 \( Q \) をそれぞれ結んだ場合を表している。
\( △BPQ \) の面積が \( △APB \) の面積の2倍であるとき,点 \( P \) の \( x \) 座標を求めよ。

【解答】
\( 9 \)

【解説】

点 \( A \) を通り,直線 \( l \) と平行な直線を \( n \),
点 \( Q \) を通り,直線 \( l \) と平行な直線を \( p \)
とし,
直線 \( l \) と \( y \) 軸の交点を \( B’ \),
直線 \( n \) と \( y \) 軸の交点を \( A’ \),
直線 \( p \) と \( y \) 軸の交点を \( Q’ \),
とすると,
等積変形になるので,
\( △BPQ=△BPQ’,△APB=△A’PB \)
になっています。

\( △BPQ=2△APB \) のとき,\( B’Q’=2A’B’ \) になります。

\( A’,B’ \) の座標は具体的にわかるので,\( A’B’ \) の長さもわかります。
そこから,\( B’Q’=2A’B’ \) となるような条件を求めていきます。

直線 \( n \) の式を \( y=\dfrac{1}{2}x+b \) とすると,
\( A(3,-2) \) を通るので,
 \( -2=\dfrac{1}{2} \times 3+b \)
  \( b=-\dfrac{7}{2} \)
ここから,点 \( A’ \) の座標は \( A’ \left( 0,-\dfrac{7}{2} \right) \)

点 \( B’ \) は,直線 \( l \) と \( y \) 軸の交点なので,
点 \( B’ \) の座標は \( B’(0,1) \)

\( A’ \left( 0,-\dfrac{7}{2} \right),B’(0,1) \) より,
 \( A’B’=1-\left( -\dfrac{7}{2} \right)=\dfrac{9}{2} \)

\( B’Q’=2A’B’ \) となるとき,\( B’Q’=9 \) より,
点 \( Q’ \) の \( y \) 座標の値は\( 10 \) になるので,
直線 \( p \) の式は \( y=\dfrac{1}{2}x+10 \) となります。

ここで,点 \( P \) の \( x \) 座標の値を \( t \) とすると,\( y \) 座標の値は,\( \dfrac{1}{2}t+1 \) と表すことができます。
また,点 \( Q \) は,\( y \) 軸を対称の軸として点 \( P \) と線対称な点なので,
点 \( Q \) の座標は,\( Q(-t,\dfrac{1}{2}t+1) \) と表すことができます。

直線 \( p \) は,\( Q(-t,\dfrac{1}{2}t+1) \) を通るので,
\( y=\dfrac{1}{2}x+10 \) に \( x=-t,y=\dfrac{1}{2}t+1 \) を代入すると,
 \( \dfrac{1}{2}t+1=\dfrac{1}{2} \times (-t)+10 \)
 \( \dfrac{1}{2}t+1=-\dfrac{1}{2}t+10 \)
    \( t=9 \)

 

大問4

右の図1で,四角形 \( ABCD \) は,\( AD//BC,AB=DC \),\( AD<BC \) の台形である。
点 \( P \) は,辺 \( AB \) 上にある点で,頂点 \( A \),頂点 \( B \) のいずれにも
一致しない。
点 \( Q \) は,辺 \( BC \) 上にある点で,頂点 \( B \),頂点 \( C \) のいずれにも
一致しない。
頂点 \( A \) と点 \( Q \),頂点 \( D \) と点 \( P \) をそれぞれ結ぶ。
次の各問に答えよ。

〔問1〕 図1において,\( AQ//DC,∠AQC=110°,∠APD=a° \) とするとき,\( ∠ADP \) の大きさを表す式を,次ののうちから選び,記号で答えよ。

     \( (140-a) \) 度      \( (110-a) \) 度      \( (70-a) \) 度      \( (40-a) \) 度

【解答】
  \( (70-a) \) 度
【解説】

\( AD//BC,AQ//DC \) より,\( AQ=DC \) なので,\( AB=AQ=DC \) であり,
\( △ABQ \) は二等辺三角形になっています。
\( ∠AQB=180°-110°=70° \) なので,
 \( ∠ABQ=∠AQB=70° \)
線分 \( AD \) を \( A \) 側に延長し,点 \( R \) をとると,
\( AD//BC \) より,錯角は等しいので,
 \( ∠RAB=∠ABQ=70° \)

\( ∠RAB \) は \( △APD \) の外角になっているので,
 \( ∠ADP+∠APD=70° \)
      \( ∠ADP=70°-a \)

 

〔問2〕 右の図2は,図1において,
頂点 \( A \) と頂点 \( C \),頂点 \( D \) と点 \( Q \),点 \( P \) と点 \( Q \) をそれぞれ結び,線分 \( AC \) と線分 \( DP \) との交点を \( R \),線分 \( AC \) と線分 \( DQ \) との交点を \( S \) とし, \( AC//PQ \) の場合を表している。
次の➀,➁に答えよ。

➀  \( △ASD \) ∽ \( △CSQ \) であることを証明せよ。

【解答】
\( AD//BC \) より,錯角は等しいので,
 \( ∠SAD=∠SCQ \) ・・・ ➀
 \( ∠SDA=∠SQC \) ・・・ ➁
➀➁より,2組の角がそれぞれ等しいので,
\( △ASD \) ∽ \( △CSQ \)

 

➁ 次の     の中の \( \fbox{お},\fbox{かき} \) に当てはまる数字をそれぞれ答えよ。

図2において,\( AP:PB=3:1,AD:QC=2:3 \) のとき,
\( △DRS \) の面積は,台形 \( ABCD \) の面積の \( \dfrac{ \fbox{お} }{\fbox{かき}} \) 倍である。
【解答】
\( \fbox{お} \) ・・・  \( 1 \)
\( \fbox{かき} \) ・・・  \( 30 \)
【解説】
この問題では,長さが具体的に表されていないので,\( △BPQ \) の面積を「1」として,
\( △DRS \) と台形 \( ABCD \) の面積が\( △BPQ \) の何倍になるかを表すことで
\( △DRS \) と台形 \( ABCD \) の面積比を求めます。

【台形 \( ABCD \) の面積は\( △BPQ \) の何倍か?】

\( △BPQ \) と \( △BAC \) において,
\( △BPQ \) ∽ \( △BAC \),\( AP:PB=3:1 \) より,
\( △BPQ:△BAC=1:16 \) なので,
\( △BAC \) の面積は「16」と表すことができます。

\( △ACD \) と \( △BAC \) において,
\( BQ:QC=1:3 \) でもあるので,
\( AD:QC=2:3 \) より,\( AD:BC=2:4 \)
ここから,
\( △ACD:△BAC=2:4=8:16 \) なので,
\( △ACD \) の面積は「8」と表すことができます。

台形 \( ABCD \) は,
\( △BAC \) と \( △ACD \) をくっつけたものなので,
面積は「24」と表すことができます。 ・・・(ア)

【\( △DRS \) の面積は\( △BPQ \) の何倍か?】

\( △BPQ \) と \( △APQ \) において,
\( AP:PB=3:1 \) より,
\( △BPQ:△APQ=1:3 \) なので,
\( △APQ \) の面積は「3」と表すことができます。

また,\( AC//PQ \) より,等積変形の考え方から
\( △APQ=△SPQ \) なので,
\( △SPQ \) の面積も「3」と表すことができます。

\( △SPQ \) と \( △SPD \) において,
\( △ASD \) ∽ \( △CSQ \),\( AD:QC=2:3 \) より,
\( SQ:SD=3:2 \) であり,\( △SPQ:△SPD=3:2 \) なので,
\( △SPD \) の面積は「2」と表すことができます。

また,\( △DPQ \) は,
\( △SPQ \) と \( △SPD \) をくっつけたものなので,
面積は「5」と表すことができます。

\( △DRS \) と \( △DPQ \) において,
\( △DRS \) ∽ \( △DPQ \),\( SQ:SD=3:2 \) より,
\( △DRS:△DPQ=4:25 \) なので,
\( △DRS \) の面積は「 \( \dfrac{4}{5} \) 」と表すことができます。 ・・・(イ)

(ア)(イ)より,\( △DRS \) と台形 \( ABCD \) の面積比は,
 \( △DRS: \) 台形 \( ABCD=\dfrac{4}{5}:24=1:30 \)
であり,
\( △DRS \) の面積は,台形 \( ABCD \) の面積の \( \dfrac{1}{30} \) 倍 になります。

 

大問5

右の図1に示した立体 \( A-BCD \) は,1辺の長さが \( 6 \; cm \) の正四面体である。
辺 \( AC \) の中点を \( M \) とする。
点 \( P \) は,頂点 \( A \) を出発し,辺 \( AB \),辺 \( BC \) 上を毎秒 \( 1 \; cm \) の速さで動き,\( 12 \) 秒後に頂点 \( C \) に到着する。
点 \( Q \) は,点 \( P \) が頂点 \( A \) を出発するのと同時に頂点 \( C \) を出発し,辺 \( CD \),辺 \( DA \) 上を点 \( P \) と同じ速さで動き,\( 12 \) 秒後に頂点 \( A \) に到着する。
点 \( M \) と点 \( P \),点 \( M \) と点 \( Q \) をそれぞれ結ぶ。
次の各問に答えよ。

〔問1〕 次の     の中の \( \fbox{く},\fbox{け} \) に当てはまる数字をそれぞれ答えよ。

図1において,点 \( P \) が辺 \( AB \) 上にあるとき, \( MP+MQ=l \; cm \) とする。
\( l \) の値が最も小さくなるのは,点 \( P \) が頂点 \( A \) を出発してから \( \dfrac{\fbox{く}}{\fbox{け}} \) 秒後である。
【解答】
\( \fbox{く} \) ・・・  \( 3 \)
\( \fbox{け} \) ・・・  \( 2 \)
【解説】

面 \( ABC \) と面 \( ADC \) に注目し,展開すると右の図のようになります。
また,\( l \) の値が最も小さくなるのは,
線分 \( PQ \) が辺 \( AB,CD \) と垂直になるときです。
\( △ABC,△ADC \) は,ともに正三角形,
点 \( M \) は辺 \( AC \) の中点であることから,
\( △AMP,△CMQ \) は,斜辺が \( 3 \; cm \)で,\( 30°,60°,90° \) の直角三角形になります。

このとき,\( AP=CQ=\dfrac{3}{2} \; cm \) になります。

 

〔問2〕 次の     の中の \( \fbox{こ},\fbox{さ} \) に当てはまる数字をそれぞれ答えよ。

右の図2は,図1において,点 \( P \) が頂点 \( A \) を出発してから
\( 8 \) 秒後のとき,頂点 \( A \) と点 \( P \),点 \( P \) と点 \( Q \) をそれぞれ
結んだ場合を表している。
立体 \( Q-APM \) の体積は,\( \fbox{こ}\sqrt{\fbox{さ}} \; cm^3 \) である。

【解答】
\( \fbox{こ} \) ・・・  \( 4 \)
\( \fbox{さ} \) ・・・  \( 2 \)
【解説】

図2の状態のとき,立体 \( A-BCD \) を面 \( ABC \) が底面になるように置き換えると,右の図のようになります。

また,右の図において,点 \( D,Q \) から面 \( ABC \) に垂線をひいたときの交点をそれぞれ点 \( R,S \) とします。

このとき,立体 \( Q-APM \) は,
底面が \( △AMP \),高さ \( QS \) の三角すいになっています。

点 \( Q \) は辺 \( AD \) 上の点なので,
辺 \( AD \) を通り,面 \( ABC \) と垂直な面で
立体 \( A-BCD \) を切断すると,点 \( D,Q,R,S \) は,この切断面上の点になります。

切断面と辺 \( BC \) の交点を \( T \) とし,
\( AR=x \; cm \) とすると,
\( 6^2-x^2=(3\sqrt{3})^2-(3\sqrt{3}-x)^2 \)
\( 36-x^2=27-(27-6\sqrt{3}x+x^2) \)
\( 6\sqrt{3}x=36 \)
\( x=2\sqrt{3} \; (cm) \)

このとき,
\( DR^2=6^2-(2\sqrt{3})^2=24 \)
\( DR=2\sqrt{6} \; (cm) \)

また,出発してから \( 8 \) 秒後には,\( AQ=4 \; cm,CQ=2 \; cm \) であることから,
\( △ASQ \) と \( △ARD \) の相似比は \( 2:3 \) になるので,
\( QS=\dfrac{2}{3}DR=\dfrac{4\sqrt{6}}{3} \; (cm) \) ・・・(ア)

次に,底面 \( △AMP \) について,
出発してから \( 8 \) 秒後には,
\( BP=2 \; cm,CP=4 \; cm \) であることから,
\( BP:CP=1:2 \) となるので,
 \( △ACP=\dfrac{2}{3}△ABC \)

点 \( M \) は,辺\( AC \) の中点なので,
 \( △AMP=\dfrac{1}{2}△ACP=\dfrac{1}{3}△ABC \)

\( △ABC \) は1辺 \( 6 \; cm \) の正三角形なので,
 \( △ABC=6 \times 3\sqrt{3} \times \dfrac{1}{2}=9\sqrt{3} \; (cm^2) \)
であり,
 \( △AMP=\dfrac{1}{3} \times 9\sqrt{3}=3\sqrt{3} \; (cm^2) \) ・・・(イ)

(ア)(イ)より,立体 \( Q-APM \) の体積は,
 \( 3\sqrt{3} \times \dfrac{4\sqrt{6}}{3} \times \dfrac{1}{3}=4\sqrt{2} \; (cm^3) \)