兵庫県公立高校入試 令和6(2024)年度 解答&解説

大問1

(1) \( 6 \div (-2) \) を計算しなさい。

【解答】
\( -3 \)

 

(2) \( 3(2x+y)-(x-4y) \) を計算しなさい。

【解答】
\( 5x+7y \)
【解説】
\( =6x+3y-x+4y \)
\( =5x+7y \)

 

(3) \( 3\sqrt{5}+\sqrt{20} \) を計算しなさい。

【解答】
\( 5\sqrt{5} \)
【解説】
\( =3\sqrt{5}+2\sqrt{5} \)
\( =5\sqrt{5} \)

 

(4) 2次方程式 \( x^2+5x+3=0 \) を解きなさい。

【解答】
\( x=\dfrac{-5±\sqrt{13}}{2} \)
【解説】
解の公式より,
\( x=\dfrac{-5±\sqrt{5^2-4 \times 1 \times 3}}{2 \times 1} \)
 \( =\dfrac{-5±\sqrt{25-12}}{2} \)
 \( =\dfrac{-5±\sqrt{13}}{2} \)

 

(5) \( y \) は \( x \) に反比例し,\( x=-6 \) のとき \( y=3 \) である。\( x=2 \) のときの \( y \) の値を求めなさい。

【解答】
\( y=-9 \)
【解説】
反比例を表す式は \( y=\dfrac{a}{x} \) ( \( a \) は定数) になります。
\( x=-6,y=3 \) を代入すると,
 \( 3=\dfrac{a}{-6} \)
 \( a=-18 \)
よって,\( y=-\dfrac{18}{x} \) において,
\( x=2 \) のときの \( y \) の値は,
 \( y=-\dfrac{18}{2}=-9 \)

 

(6) 絶対値が \( 2 \) 以下である整数すべての和を求めなさい。

【解答】
\( 0 \)
【解説】

絶対値が \( 2 \) 以下である整数は,\( -2,-1,0,1,2 \) なので,
これらの和は,
 \( (-2)+(-1)+0+1+2=0 \)

 

(7) 図1のように,底面の半径が \( 4 \; cm \),高さが \( 6 \; cm \) の円すいがある。この円すいの体積は何 \( cm^3 \) か,求めなさい。ただし,円周率は \( \pi{} \) とする。

【解答】
\( 32\pi{} \; cm^3 \)
【解説】
\( (\pi{} \times 4^2) \times 6 \times \dfrac{1}{3}=32\pi{} \; (cm^3) \)

 

(8) 図2で,\( ℓ//m \) のとき,\( ∠x \) の大きさは何度か,求めなさい。

【解答】
\( ∠x=40° \)
【解説】
\( ∠x=60°-20°=40° \)

 

大問2

2つの駐輪場A,Bがあり,表1は自転車1台を駐輪場Aに駐輪する場合の料金の設定の一部を,表2は自転車1台を駐輪場Bに駐輪する場合の料金の設定を表したものである。図は自転車1台を駐輪場Aに駐輪する場合について,駐輪時間 \( x \) 分と料金 \( y \) 円の関係をグラフに表したものである。ただし,駐輪時間は連続する時間とする。
あとの問いに答えなさい。

(1) 自転車1台を駐輪場Aに \( 100 \) 分駐輪するときの料金は何円か,求めなさい。

【解答】
\( 240 \) 円
【解説】
表1から,\( 60 \) 分を超えて \( 180 \) 分までは何分駐輪しても \( 240 \) 円になります。

 

(2) 自転車1台を駐輪場Bに駐輪する場合について,駐輪時間 \( x \) 分と料金 \( y \) 円の関係をグラフに表すと,そのグラフ上に2点 \( P(20,100),Q(40,120) \) がある。直線 \( PQ \) の式を求めなさい。

【解答】
\( y=x+80 \)
【解説】
直線 \( PQ \) の式を \( y=ax+b \) とすると,
 \( a=\dfrac{120-100}{40-20}=1 \)
\( y=x+b \) に \( x=20,y=100 \) を代入すると,
 \( 100=20+b \)
  \( b=80 \)
よって,直線 \( PQ \) の式は \( y=x+80 \)

 

(3) 自転車1台を \( 180 \) 分までの時間で駐輪する。このとき,駐輪場Aに駐輪する場合の料金と,駐輪場Bに駐輪する場合の料金が等しくなるのは駐輪時間が何分のときか,適切なものを次のから1つ選んで,その符号を書きなさい。

     \( 120 \) 分を超えて \( 140 \) 分まで
     \( 140 \) 分を超えて \( 160 \) 分まで
     \( 160 \) 分を超えて \( 180 \) 分まで
     料金が等しくなる時間はない

【解答】
 \( 140 \) 分を超えて \( 160 \) 分まで
【解説】
駐輪場Bの料金は \( 100 → 120 → 140 \) 円と変化しており,すべて \( 20 \) の倍数になっています。
駐輪場Aの料金で \( 20 \) の倍数になるのは,\( 240 \) 円のときなので,
料金が等しくなるのは \( 240 \) 円のときであるとわかります。

駐輪場Bの料金は
 \( x=20=20 \times 1 \) のとき \( y=100=100+20 \times 0 \)
 \( x=40=20 \times 2 \) のとき \( y=120=100+20 \times 1 \)
 \( x=60=20 \times 3 \) のとき \( y=140=100+20 \times 2 \)
 ・・・
と増えていくので,\( y=240=100+20 \times 7 \) になるのは,
\( x=20 \times 8=160 \) のときになります。

よって,料金が等しくなるのは \( 140 \) 分を超えて \( 160 \) 分までになります。

【参考】
駐輪場Bに駐輪する場合をグラフに書き加えると

 

(4) 自転車1台を \( 180 \) 分を超えて \( 300 \) 分までの時間で駐輪する。このとき,駐輪場Aに駐輪する場合の料金よりも,駐輪場Bに駐輪する場合の料金のほうが安くなる駐輪時間は最大で何分か,求めなさい。

【解答】
\( 240 \) 分
【解説】
駐輪場Bの料金は \( 20 \) の倍数になることから,\( 330 \) 円になることはなく,
\( 320 \) 円のときが駐輪場Bに駐輪する場合の料金のほうが安くなる限界になります。

\( y=320=100+20 \times 11 \) になるのは,
\( x=20 \times 12=240 \) のときになります。

【参考】
グラフで考えると

 

大問3

(1) 数学の授業で,先生がAさんたち生徒に次の【問題】を出した。

【問題】
2つの奇数の積は,偶数になるか,奇数になるか考えなさい。
また,2つの偶数の積,偶数と奇数の積についても考えなさい。

Aさんは,【問題】について,次のように考えた。 ⅰ  にあてはまる \( 1 \) 以外の自然数, ⅱ  にあてはまる式をそれぞれ求めなさい。また, ⅲ  ⅳ  ⅴ  にあてはまる語句の組み合わせとして適切なものを,あとのから1つ選んで,その符号を書きなさい。


まず,2つの奇数の積について考える。
\( m,n \) を整数とすると,2つの奇数は \( 2m+1,2n+1 \) と表される。
この2つの奇数の積は,\( (2m+1)(2n+1) \) と表すことができ,変形すると,
 \( (2m+1)(2n+1)=4mn+2m+2n+1 \)
           \( = \)  ⅰ  \( ( \)  ⅱ  \( )+1 \)
 ⅱ  は整数だから, ⅰ  \( ( \)  ⅱ  \( ) \) は  ⅲ  である。
したがって,2つの奇数の積は  ⅳ  である。
同じようにして考えると,2つの偶数の積, 偶数と奇数の積はどちらも  ⅴ  である。


    ⅲ  偶数    ⅳ  偶数    ⅴ  偶数
    ⅲ  偶数    ⅳ  偶数    ⅴ  奇数
    ⅲ  偶数    ⅳ  奇数    ⅴ  偶数
    ⅲ  偶数    ⅳ  奇数    ⅴ  奇数
    ⅲ  奇数    ⅳ  偶数    ⅴ  偶数
    ⅲ  奇数    ⅳ  偶数    ⅴ  奇数
    ⅲ  奇数    ⅳ  奇数    ⅴ  偶数
    ⅲ  奇数    ⅳ  奇数    ⅴ  奇数

【解答】
 ⅰ  ・・・  \( 2 \)
 ⅱ  ・・・  \( 2mn+m+n \)
  ⅲ  偶数    ⅳ  奇数    ⅴ  偶数

 

(2) 大小2つのさいころを同時に1回投げ,大きいさいころの出た目の数を \( a \),小さいさいころの出た目の数を \( b \) とする。次の確率を求めなさい。
ただし,さいころの \( 1 \) から \( 6 \) までのどの目が出ることも同様に確からしいとする。

 \( ab \) の値が奇数となる確率を求めなさい。

【解答】
\( \dfrac{1}{4} \)
【解説】
(1)より,2つの自然数の積が奇数になるのは「奇数 \(  \times  \) 奇数」の場合だけです。
つまり,\( a=1,3,5 \) かつ \( b=1,3,5 \) の場合なので,
あてはまる組み合わせは \( 3 \times 3=9 \)(通り)です。
すべての組み合わせは \( 6 \times 6=36 \)(通り)なので,
求める確率は \( \dfrac{9}{36}=\dfrac{1}{4} \)

 

 \( ab+3b \) の値が偶数となる確率を求めなさい。

【解答】
\( \dfrac{3}{4} \)
【解説】
\( ab+3b=(a+3)b \) であり,この値が奇数になるのは,\( a+3 \) と \( b \) がともに奇数のときです。

\( 3 \) が奇数であることから,
\( a+3 \) が奇数になるのは,\( a \) が偶数のとき(注)です。

つまり,\( ab+3b \) の値が奇数になるのは,
\( a=2,4,6 \) かつ \( b=1,3,5 \) の場合であり,
あてはまる組み合わせは \( 3 \times 3=9 \)(通り)です。
すべての組み合わせは \( 6 \times 6=36 \)(通り)なので,
その確率は \( \dfrac{9}{36}=\dfrac{1}{4} \) です。

【注:2つの整数の和】
 偶数 \( + \) 偶数 \( = \) 偶数
 偶数 \( + \) 奇数 \( = \) 奇数
 奇数 \( + \) 偶数 \( = \) 奇数
 奇数 \( + \) 奇数 \( = \) 偶数

よって,\( ab+3b \) の値が偶数となる確率は,
 \( 1-\dfrac{1}{4}=\dfrac{3}{4} \)

 

 \( a^2-5ab+6b^2 \) の値が \( 3 \) 以上の奇数となる確率を求めなさい。

【解答】
\( \dfrac{2}{9} \)
【解説】
\( a^2-5ab+6b^2=(a-2b)(a-3b) \) であり,
\( (a-2b)(a-3b) \) が奇数になるのは,\( a-2b \) と \( a-3b \) がともに奇数のときです。

【\( a-2b \) が奇数になる条件】
\( 2b \) は偶数になることから,
\( a-2b \) が奇数になるのは,\( a \) が奇数のとき(注)です。

【\( a-3b \) が奇数になる条件】
\( a \) が奇数になることから,
\( a-3b \) が奇数になるのは,\( 3b \) が偶数のときです。
\( 3 \) が奇数であることから,
\( 3b \) が偶数になるのは,\( b \) が偶数のときです。

【注:2つの整数の差】
 偶数 \( – \) 偶数 \( = \) 偶数
 偶数 \( – \) 奇数 \( = \) 奇数
 奇数 \( – \) 偶数 \( = \) 奇数
 奇数 \( – \) 奇数 \( = \) 偶数

ここまでより,\( (a-2b)(a-3b) \) が奇数になるのは,
\( a=1,3,5 \) かつ \( b=2,4,6 \) の場合になります。

ここから,すべての組み合わせについて \( (a-2b)(a-3b) \) の値を求めると,
 \( (a,b)=(1,2) \) のとき,
  \( (a-2b)(a-3b)=(-3) \times (-5)=15 \)
 \( (a,b)=(1,4) \) のとき,
  \( (a-2b)(a-3b)=(-7) \times (-11)=77 \)
 \( (a,b)=(1,6) \) のとき,
  \( (a-2b)(a-3b)=(-11) \times (-17)=187 \)
 \( (a,b)=(3,2) \) のとき,
  \( (a-2b)(a-3b)=(-1) \times (-3)=3 \)
 \( (a,b)=(3,4) \) のとき,
  \( (a-2b)(a-3b)=(-5) \times (-9)=45 \)
 \( (a,b)=(3,6) \) のとき,
  \( (a-2b)(a-3b)=(-9) \times (-15)=135 \)
 \( (a,b)=(5,2) \) のとき,
  \( (a-2b)(a-3b)=1 \times (-1)=-1 \) → \( 3 \) 未満
 \( (a,b)=(5,4) \) のとき,
  \( (a-2b)(a-3b)=(-3) \times (-7)=21 \)
 \( (a,b)=(5,6) \) のとき,
  \( (a-2b)(a-3b)=(-7) \times (-13)=91 \)
となり,\( 3 \) 以上になる組み合わせは \( 8 \) 通りです。
すべての組み合わせは \( 6 \times 6=36 \)(通り)なので,
その確率は \( \dfrac{8}{36}=\dfrac{2}{9} \) です。

 

大問4

図のように,関数 \( y=ax^2 \) のグラフ上に2点 \( A,B \) があり,点 \( A \) の座標は \( (-2,1) \),点 \( B \) の \( x \) 座標は \( 4 \) である。また,\( y \) 軸上に \( y \) 座標が \( 1 \) より大きい点 \( C \) をとる。
次の問いに答えなさい。

(1) \( a \) の値を求めなさい。

【解答】
\( a=\dfrac{1}{4} \)
【解説】
\( y=ax^2 \) は \( A(-2,1) \) を通っているので,
  \( 1=a \times (-2)^2 \)
 \( 4a=1 \)
  \( a=\dfrac{1}{4} \)

 

(2) 次の  ア  イ  にあてはまる数をそれぞれ求めなさい。

関数 \( y=ax^2 \) について,\( x \) の変域が \( -2≦x≦4 \) のとき,\( y \) の変域は, ア  \( ≦y≦ \)  イ  である。
【解答】
 ア  ・・・ \( 0 \)
 イ  ・・・ \( 4 \)
【解説】
関数 \( y=ax^2 \) ( \( a>0,a \) は定数) において,
\( x \) の変域が \( 0 \) を含むとき,\( y \) の最小値は \( 0 \) になります。
また,\( x \) の絶対値が最も大きくなるとき,\( y \) は最大値をとります。

関数 \( y=\dfrac{1}{4}x^2 \) について,
\( x \) の変域が \( -2≦x≦4 \) のとき,\( x \) の変域は \( 0 \) を含んでいるので,
\( y \) の最小値は \( 0 \) になります。
\( x \) の絶対値が最も大きいのは \( x=4 \) のときなので,
このときの \( y \) の値は,
 \( y=\dfrac{1}{4} \times 4^2=4 \)
であり,最大値は \( 4 \) になります。

よって,\( y \) の変域は,\( 0≦y≦4 \) になります。

 

(3) 直線 \( AB \) の式を求めなさい。

【解答】
\( y=\dfrac{1}{2}x+2 \)
【解説】

直線 \( AB \) の式を \( y=mx+n \) とすると,
\( A(-2,1),B(4,4) \) を通るので,
 \( m=\dfrac{4-1}{4-(-2)}=\dfrac{1}{2} \)
\( y=\dfrac{1}{2}x+n \) に \( x=4,y=4 \) を代入すると,
 \( 4=\dfrac{1}{2} \times 4+n \)
 \( 4=2+n \)
 \( n=2 \)

よって,直線 \( AB \) の式は \( y=\dfrac{1}{2}x+2 \)

 

(4) 線分 \( AB,AC \) をとなり合う辺とする平行四辺形 \( ABDC \) をつくると,点 \( D \) は関数 \( y=ax^2 \) のグラフ上の点となる。

 点 \( D \) の座標を求めなさい。

【解答】
\( D(6,9) \)
【解説】
平行四辺形 \( ABDC \) は,線分 \( AB,AC \) がとなり合う辺なので,
線分 \( AD,BC \) が対角線になります。

平行四辺形の対角線はそれぞれの中点で交わるので,
線分 \( AD,BC \) の交点を \( M \) とすると,点 \( M \) は,線分 \( BC \) の中点になります。
点 \( B \) の \( x \) 座標は \( 4 \),点 \( C \) の \( x \) 座標は \( 0 \) なので,
点 \( M \) の \( x \) 座標は \( \dfrac{0+4}{2}=2 \)

点 \( M \) は,線分 \( AD \) の中点でもあるので,
点 \( D \) の \( x \) 座標を \( t \) とすると,点 \( A \) の \( x \) 座標が \( -2 \) であることから,
 \( \dfrac{-2+t}{2}=2 \)
  \( -2+t=4 \)
     \( t=6 \)
となり,点 \( D \) の \( x \) 座標は \( 6 \) になります。

点 \( D \) は \( y=\dfrac{1}{4}x^2 \) 上の点なので,\( x=6 \) を代入すると,
 \( y=\dfrac{1}{4} \times 6^2=9 \)

よって,点 \( D \) の座標は \( D(6,9) \) になります。


 

 直線 \( y=2x+8 \) 上に点 \( E \) をとる。\( △ABE \) の面積が平行四辺形 \( ABDC \) の面積と等しくなるとき,点 \( E \) の座標を求めなさい。ただし,点 \( E \) の \( x \) 座標は正の数とする。

【解答】
\( E \left( \dfrac{4}{3},\dfrac{32}{3} \right) \)
【解説】
【方針】
平行四辺形は,対角線によって二等分されることから,平行四辺形 \( ABDC=2△ABC \) であり,
\( △ABE \) の面積が平行四辺形 \( ABDC \) の面積と等しくなるとき,\( △ABE=2△ABC \) になります。
\( y \) 軸上に \( △ABE’=2△ABC \) になるような点 \( E’ \) をとると,
\( △ABE=△ABE’ \) で,辺 \( AB \) は共通なので,
点 \( E,E’ \) はどちらも直線 \( AB \) と平行な直線上の点になっています。
よって,点 \( E \) は点 \( E’ \) を通り直線 \( AB \) と平行な直線と直線 \( y=2x+8 \) の交点になります。

点 \( M \) は線分 \( AD \) の中点なので,\( A(-2,1),D(6,9) \) より,
点 \( M \) の \( y \) 座標は,\( \dfrac{1+9}{2}=5 \) になります。
点 \( M \) は線分 \( BC \) の中点でもあるので,\( B(4,4) \) より,
点 \( C \) の \( y \) 座標は,\( 6 \) になります。
ここから,点 \( C \) の座標は,\( C(0,6) \) になります。

直線 \( AB \) と \( y \) 軸の交点を \( F \) とすると,
直線 \( AB \) の式は \( y=\dfrac{1}{2}x+2 \) なので,点 \( F \) の座標は \( F(0,2) \) になります。

\( y \) 軸上に \( △ABE’=2△ABC \) になるような点 \( E’ \) をとると,
\( CE’=CF=4 \) となる(注)ので,点 \( E’ \) の座標は \( E’(0,10) \) になります。
このとき,点 \( E’ \) を通り直線 \( AB \) と平行な直線の式は \( y=\dfrac{1}{2}x+10 \) であり,
点 \( E \) もこの直線上の点なので,
 \( \dfrac{1}{2}x+10=2x+8 \)
  \( x+20=4x+16 \)
    \( 3x=4 \)
     \( x=\dfrac{4}{3} \)
\( y=2x+8 \) に代入すると,
 \( y=2 \times \dfrac{4}{3}+8=\dfrac{32}{3} \)

 

△ABE’=2△ABC になるとき CF=CE’になる理由
\( △ABC=△AFC+△BFC,△ABE’=△AFE’+△BFE’ \) と考えると,
\( △AFC \) と \( △AFE’ \) は高さが共通なので,底辺\( CF \) と \( E’F \) の比が面積比と等しくなります。
つまり,\( CF:E’F=1:2 \) になるとき,\( △AFC:△AFE’=1:2 \) より,
\( △AFE’=2△AFC \) になります。

\( △BFC \) と \( △BFE’ \) についても同様で,
\( CF:E’F=1:2 \) になるとき,\( △BFC:△BFE’=1:2 \) より,
\( △BFE’=2△BFC \) になります。

ここから,
 \( △ABE’=△AFE’+△BFE’ \)
      \( =2△AFC+2△BFC \)
      \( =2(△AFC+△BFC) \)
      \( =2△ABC \)
となるので,
\( △ABE’=2△ABC \) になるとき,\( CF:E’F=1:2 \) つまり,\( CF=CE’ \) になります。


 

大問5

図1のように,\( ∠ACB=90°,AB=4 \; cm,AC=3 \; cm \) の直角三角形 \( ABC \) があり,辺 \( AB \) 上に \( BD=1 \; cm \) となる点 \( D \) をとる。2点 \( A,D \) を通り,辺 \( BC \) に点 \( E \) で接する円 \( O \) がある。
次の問いに答えなさい。

(1) 線分 \( BE \) の長さを次のように求めた。 ⅰ  ⅱ  ⅲ  にあてはまる最も適切なものを,あとのからそれぞれ1つ選んで,その符号を書きなさい。また, ⅳ  にあてはまる数を求めなさい。


図2のように,
直線 \( EO \) と円 \( O \) との交点のうち,
点 \( E \) と異なる点を \( F \) とし,
まず,\( △ABE \) ∽ \( △EBD \) であることを証明する。
\( △ABE \) と \( △EBD \) において
共通な角だから,
 \( ∠ABE = ∠EBD \) ・・・ ➀
弧 \( DE \) に対する円周角は等しいから,
 \( ∠DAE=∠ \)  ⅰ  ・・・ ➁
\( △DEF \) は,辺 \( EF \) を斜辺とする直角三角形であるから,
 \( ∠ \)  ⅰ  \( +∠DEF=90° \) ・・・ ➂
また,\( OE⊥BC \) であるから,
 \( ∠DEF+∠ \)  ⅱ  \( =90° \) ・・・ ④
③,④より,
 \( ∠ \)  ⅰ  \( =∠ \)  ⅱ  ・・・ ➄
②,⑤より,
 \( ∠BAE =∠ \)  ⅱ  ・・・ ⑥
①,⑥より,2組の角がそれぞれ等しいから,
 \( △ABE \) ∽ \( △EBD \)
したがって,\( AB:EB= \)  ⅲ 
このことから,\( BE= \)  ⅳ  \( cm \)


  \( ADE \)        \( AEF \)        \( BED \)        \( DFE \)
  \( BD:BE \)      \( BE:BD \)      \( BE:DE \)

【解答】

 ⅰ  ・・・   \( DFE \)
 ⅱ  ・・・   \( BED \)
 ⅲ  ・・・   \( BE:BD \)
 ⅳ  ・・・ \( 2 \)


\( AB:EB=BE:BD \)
  \( 4:EB=BE:1 \)
   \( BE^2=4 \)
   \( BE=2 \; (cm) \) ( \( BE>0 \) より)

 

(2) 線分 \( CE \) の長さは何 \( cm \) か,求めなさい。

【解答】
\( CE=\sqrt{7}-2 \; cm \)
【解説】

 \( △ABC \) において,三平方の定理より,
 \( BC^2=4^2-3^2=7 \)
  \( BC=\sqrt{7} \; (cm) \)

(1)より,\( BE=2 \; cm \) なので,
\( CE=BC-BE=\sqrt{7}-2 \; (cm) \)

 

(3) 円 \( O \) の半径の長さは何 \( cm \) か,求めなさい。

【解答】
\( \dfrac{10-2\sqrt{7}}{3} \; cm \)
【解説】

円 \( O \) の半径の長さを \( r \; cm \) とし,
補助線 \( OA \) をひくと, \( OA=r \; cm \)

中心 \( O \) から線分 \( AC \) に垂線をひき,
交点を \( F \) とすると,
\( OF=CE=\sqrt{7}-2 \; cm \)
\( AC=3 \; cm,FC=OE=r \; cm \) なので,
\( AF=3-r \; cm \)

\( △OAF \) において,三平方の定理より,
 \( OA^2=OF^2+AF^2 \)
   \( r^2=(\sqrt{7}-2)^2+(3-r)^2 \)
   \( r^2=(11-4\sqrt{7})+(r^2-6r+9) \)
   \( r^2=r^2-6r+20-4\sqrt{7} \)
   \( 6r=20-4\sqrt{7} \)
   \( r=\dfrac{10-2\sqrt{7}}{3} \; (cm) \)

 

大問6

ゆうきさん,りょうさん,まことさんの3人は,兵庫県内のいくつかの市町における2022年1月から2022年12月までの,月ごとの降水日数(雨が降った日数)を調べた。
次の問いに答えなさい。ただし,1日の降水量が \( 1 \; mm \) 以上であった日を雨が降った日,\( 1 \; mm \) 未満であった日を雨が降らなかった日とする。

(1) 表1は西宮市の月ごとの降水日数のデータである。このデータの中央値(メジアン)は何日か,求めなさい。

【解答】
\( 7.5 \) 日
【解説】
表1の「降水日数(日)」を少ない順に並べ替えると,
 \( 2,2,4,5,7,7,8,9,10,10,11,14 \)
全部で12か月分のデータを集計しているので,中央値(メジアン)になるのは,
値の小さい方から6番目と7番目の値の平均値になります。

よって,中央値(メジアン)は,\( \dfrac{7+8}{2}=7.5 \)(日)

 

(2) 図は,豊岡市,三田市,洲本市について,それぞれの市の月ごとの降水日数のデータを,ゆうきさんが箱ひげ図に表したものである。

 りょうさんは,図から次のように考えた。りょうさんの考えの下線部 \( a,b \) は,それぞれ図から読みとれることとして正しいといえるか,最も適切なものを,あとのからそれぞれ1つ選んで,その符号を書きなさい。

りょうさんの考え
\( _a \) 三田市の範囲と洲本市の範囲は等しいが,\( _b \) 平均値は三田市より洲本市のほうが大きい
   正しい        正しくない      図からはわからない

【解答】
下線部 \( a \) ・・・  正しい
下線部 \( b \) ・・・  図からはわからない
【解説】
下線部 \( a \) ・・・ 範囲は「最大値 \( – \) 最小値」で求めることができます。
       三田市と洲本市は最大値と最小値がどちらも等しいので,範囲も等しくなります。
      

下線部 \( b \) ・・・ 箱ひげ図のデータだけでは平均値を求めることはできません。

 

 まことさんは,調べた市町について,それぞれの市町の月ごとの降水日数のデータを度数分布表にまとめることにした。表2はその一部,豊岡市についての度数分布表である。表2の \( \boxed{\phantom{ }ⅰ\phantom{ }} \) にあてはまる数を,図から読みとり求めなさい。ただし,小数第2位までの小数で表すこと。

【解答】
\( 0.75 \)

【解説】
累積相対度数は,「その階級の累積度数 \( \div \) すべての階級の度数の合計」で求めることができるので,
「\( 12 \) 日以上 \( 16 \) 日未満の階級の累積度数」,
つまり,「降水日数が \( 16 \) 日未満の月が何か月あったか」がわかれば,累積相対度数を求められます。

豊岡市の箱ひげ図から,第三四分位数が \( 15.5 \) 日になっていることに注目すると,
全部で12か月分のデータを集計しているので,第三四分位数になるのは,
値の小さい方から9番目と10番目の値の平均値になります。

9番目の値を \( x \) 日,10番目の値を \( y \) 日とすると,
 \( \dfrac{x+y}{2}=15.5 \)
  \( x+y=31 \)
になります。
\( x,y \) はともに整数で,\( x≦y \) であることから,
\( y=15 \) のときは \( x+y=31 \) を満たさないので,\( y≧16 \) であるとわかります。
\( y=16 \) のとき,\( x=15 \) なので,\( x≦15 \) であるとわかります。
ここから,降水日数が \( 16 \) 日未満の月は9か月あったことがわかります。

よって,\( 12 \) 日以上 \( 16 \) 日未満の階級の累積度数は,
 \( 9 \div 12=0.75 \)

 

(3) 3人は降水確率について興味をもち,さらに調べると「ブライアスコア」という値について知った。


<ブライアスコア>
降水確率の精度を評価する値の1つであり,表3のような表を用いて,あとの(ⅰ)~(ⅳ)の手順で求める。

  (ⅰ) それぞれの日の「予報(降水確率)」の欄には,降水確率を記入する。
  (ⅱ) それぞれの日の「降水の有無」の欄には,実際にその日に雨が降った場合は \( 1 \),
      雨が降らなかった場合は \( 0 \) を記入する。
  (ⅲ) それぞれの日について,(ⅰ),(ⅱ)で記入した数の差の2乗の値を求める。
  (ⅳ) (ⅲ)で求めた値の \( n \) 日間分の平均値が \( n \) 日間のブライアスコアとなる。
例1:表3の1月1日と1月2日の2日間のブライアスコアは,
    \( \{ (0.2-0)^2+(0.6-1)^2 \} \div 2=0.1 \)
例2:表3の5日間のブライアスコアは,
    \( \{ (0.2-0)^2+(0.6-1)^2+(0-0)^2+ (0.1-1)^2+ (1-1)^2 \} \div 5=0.202 \)


ある年の2月1日から9日の降水について調べると,表4のようであり,2月7日から9日の「降水の有無」はわからなかった。また,2月1日から3日までの3日間のブライアスコアと,2月4日から6日までの3日間のブライアスコアは等しかった。ただし,\( 0≦x<0.5,0≦y≦1 \) とする。

 \( y \) を \( x \) の式で表しなさい。

【解答】
\( y=-x+1 \)
【解説】
2月1日から3日までの3日間のブライアスコアは,
 \( \{ (x-0)^2+(y-0)^2+(0.5-0)^2 \} \div 3=(x^2+y^2+0.25) \div 3 \)

2月4日から6日までの3日間のブライアスコアは,
 \( \{ (x-1)^2+(y-1)^2+(0.5-1)^2 \} \div 3=\{ (x-1)^2+(y-1)^2+0.25 \} \div 3 \)

と表すことができ,これらが等しいので,
 \( (x^2+y^2+0.25) \div 3=\{ (x-1)^2+(y-1)^2+0.25 \} \div 3 \)
    \( x^2+y^2+0.25=(x^2-2x+1)+(y^2-2y+1)+0.25 \)
           \( 0=-2x-2y+2 \)
           \( 2y=-2x+2 \)
           \( y=-x+1 \)

 

 2月1日から9日の降水について,さらに次のことがわかった。

・ 2月7日から9日の3日のうち,2日は雨が降り,1日は雨が降らなかった。
・ 2月7日から9日までの3日間のブライアスコアは,2月1日から6日までの6日間の
  ブライアスコアより,\( \dfrac{2}{15} \) だけ小さかった。

このとき,\( x \) の値を求めなさい。また,2月7日から9日の3日のうち,雨が降った日の組み合わせとして適切なものを,次のから1つ選んで,その符号を書きなさい。

   2月7日と8日      2月7日と9日      2月8日と9日

【解答】
\( x=0.3 \)
組み合わせ ・・・  2月8日と9日
【解説】
表1の \( y \) を \( -x+1 \) におきかえて,2月1日から6日までの6日間のブライアスコアを
\( x \) を使った式で表すと,
  \( \{ (x-0)^2+(-x+1-0)^2+(0.5-0)^2+(x-1)^2+(-x+1-1)^2+(0.5-1)^2 \} \div 6 \)
 \( =\{ x^2+(-x+1)^2+0.25+(x-1)^2+x^2+0.25 \} \div 6 \)
 \( =\{ 2x^2+2(-x+1)^2+0.50 \} \div 6 \)
 \( =\{ x^2+(-x+1)^2+0.25 \} \div 3 \)
 \( =\{ x^2+(x-1)^2+0.25 \} \div 3 \)

同様に,の3通りについて,
2月7日から9日までの3日間のブライアスコアを \( x \) を使った式で表し,
ブライアスコアの関係を方程式として解くと,

 2月7日と8日の場合】
2月7日から9日までの3日間のブライアスコアは
 \( \{ (x-1)^2+(-x+1-1)^2+(0.5-0)^2 \} \div 3=\{ (x-1)^2+x^2+0.25 \} \div 3 \)
と表すことができます。
ここから,ブライアスコアの関係を方程式として解くと,
 \( \{ x^2+(x-1)^2+0.25 \} \div 3-\dfrac{2}{15}=\{ (x-1)^2+x^2+0.25 \} \div 3 \)
                \( -\dfrac{2}{15}=0 \)
となるので不適

 2月7日と9日の場合】
2月7日から9日までの3日間のブライアスコアは
 \( \{ (x-1)^2+(-x+1-0)^2+(0.5-1)^2 \} \div 3=\{ (x-1)^2+(-x+1)^2+0.25 \} \div 3 \)
                        \( =\{ 2(x-1)^2+0.25 \} \div 3 \)
と表すことができます。
ここから,ブライアスコアの関係を方程式として解くと,
 \( \{ x^2+(x-1)^2+0.25 \} \div 3-\dfrac{2}{15}=\{ 2(x-1)^2+0.25 \} \div 3 \)
    \( \{ x^2+(x-1)^2+0.25 \}-\dfrac{2}{5}=2(x-1)^2+0.25 \)
           \( x^2-(x-1)^2=\dfrac{2}{5} \)
        \( x^2-(x^2-2x+1)=\dfrac{2}{5} \)
               \( 2x-1=\dfrac{2}{5} \)
                 \( 2x=\dfrac{7}{5} \)
                  \( x=\dfrac{7}{10}=0.7 \)
となり,\( 0≦x<0.5 \) を満たさないので不適

 2月8日と9日の場合】
2月7日から9日までの3日間のブライアスコアは
 \( \{ (x-0)^2+(-x+1-1)^2+(0.5-1)^2 \} \div 3=(x^2+x^2+0.25) \div 3 \)
                         \( =(2x^2+0.25) \div 3 \)
と表せるので,方程式として解くと,
 \( \{ x^2+(x-1)^2+0.25 \} \div 3-\dfrac{2}{15}=(2x^2+0.25) \div 3 \)
    \( \{ x^2+(x-1)^2+0.25 \}-\dfrac{2}{5}=2x^2+0.25 \)
  \( x^2+(x^2-2x+1)+0.25-\dfrac{2}{5}=2x^2+0.25 \)
     \( 2x^2-2x+1+0.25-\dfrac{2}{5}=2x^2+0.25 \)
             \( -2x+\dfrac{3}{5}=0 \)
                 \( 2x=\dfrac{3}{5} \)
                 \( x=\dfrac{3}{10}=0.3 \)
となり,\( 0≦x<0.5 \) を満たしています。

よって,雨が降った日の組み合わせは, 2月8日と9日になります。