山口県公立高校入試 令和5(2023)年度 解答&解説

大問1

(1) \( (-8) \div 4 \) を計算しなさい。

【解答】
\( -2 \)

 

(2) \( \dfrac{5}{2}+(-\dfrac{7}{3}) \) を計算しなさい。

【解答】
\( \dfrac{1}{6} \)
【解説】
\( =\dfrac{5}{2}-\dfrac{7}{3} \)
\( =\dfrac{5 \times 3}{2 \times 3}-\dfrac{7 \times 2}{3 \times 2} \)
\( =\dfrac{15-14}{6} \)
\( =\dfrac{1}{6} \)

 

(3) \( 4(8x-7) \) を計算しなさい。

【解答】
\( 32x-28 \)
【解説】
\( =4 \times 8x-4 \times 7 \)
\( =32x-28 \)

 

(4) \( a=-2,b=9 \) のとき,\( 3a+b \) の値を求めなさい。

【解答】
\( 3 \)
【解説】
\( 3a+b \) に \( a=-2,b=9 \) を代入すると,
\( =3 \times (-2)+9 \)
\( =-6+9 \)
\( =3 \)

 

(5) \( (\sqrt{6}-1)(\sqrt{6}+5) \) を計算しなさい。

【解答】
\( 1+4\sqrt{6} \)
【解説】
\( =(\sqrt{6})^2+(-\sqrt{6})+5\sqrt{6}+(-1) \times 5 \)
\( =6+4\sqrt{6}-5 \)
\( =1+4\sqrt{6} \)

 

大問2

(1) 二次方程式 \( (x-2)^2-4=0 \) を解きなさい。

【解答】
\( x=0,4 \)
【解説】
\( (x-2)^2=4 \)
  \( x-2=±2 \)
    \( x=2±2 \)
    \( x=0,4 \)

 

(2) 右の図の円 \( O \) で,\( ∠x \) の大きさを求めなさい。

【解答】
\( 31° \)
【解説】
下の図のように点 \( A,B,C,D,E \) をとると,
弧 \( AD \) に対する円周角なので,\( ∠ABE=∠ACD \)
\( △ABE \) において,
 \( x+62°+87°=180° \)
        \( x=31° \)

 

(3) 関数 \( y=-2x^2 \) について,次の \( \fbox{ ア } , \fbox{ イ } \) にあてはまる数を求めなさい。

\( x \) の変域が \( -2≦x≦1 \) のとき,\( y \) の変域は \( \fbox{ ア } ≦y≦ \fbox{ イ } \) となる。

【解答】
\( \fbox{ ア } \) ・・・ \( -8 \)
\( \fbox{ イ } \) ・・・ \( 0 \)
【解説】

関数 \( y=ax^2  (a<0) \) において,
\( x \) の変域が \( 0 \) を含むとき,\( y \) の変域の最大値は必ず \( 0 \) になります。

また,グラフは,\( y \) 軸に対して対称な形になっているので,
\( x \) の絶対値が最大になるときに \( y \) の値は最小値になります。

\( -2≦x≦1 \) の範囲で,\( x \) の絶対値が最大になるのは
\( x=-2 \) のときなので,\( y \) の最小値は,
\( y=-2 \times (-2)^2=-8 \)

よって,\( y \) の変域は \( -8≦y≦0 \) となります。

 

(4) 右の表は,ある中学校のウェブページについて,1日の閲覧数を30日間記録し,度数分布表にまとめたものである。
この度数分布表から1日の閲覧数の最頻値を答えなさい。

【解答】
70回
【解説】
最頻値とは,度数がもっとも多い階級の階級値のことです。

度数分布表より,
度数がもっとも多い階級は,60回以上80回未満なので,
この階級の階級値(中央の値)は70回になります。

よって,最頻値は70回になります。

大問3

(1) 「1個あたりのエネルギーが \( 20 \) kcal のスナック菓子 \( a \) 個と,1個あたりのエネルギーが \( 51 \) kcal のチョコレート菓子 \( b \) 個のエネルギーの総和は \( 180 \) kcal より小さい」という数量の関係を,不等式で表しなさい。

【解答】
\( 20a+51b<180 \)
【解説】
スナック菓子 \( a \) 個のエネルギーの合計を文字を使って表すと,\( 20a  \) kcal
チョコレート菓子 \( b \) 個のエネルギーの合計を文字を使って表すと,\( 51b \) kcal
これらのエネルギーの総和は,\( 20a+51b \) kcal
これが \( 180 \) kcal より小さいので,不等式で表すと,
\( 20a+51b<180 \)

 

(2) チョコレートにはカカオが含まれている。チョコレート全体の重さに対するカカオの重さの割合をカカオ含有率とし,次の式で表す。

\( カカオ含有率(%)=\dfrac{カカオの重さ}{チョコレート全体の重さ} \times 100 \)

カカオ含有率 \( 30% \) のチョコレートと,カカオ含有率 \( 70% \) のチョコレートを混ぜて,カカオ含有率 \( 40% \) のチョコレートを \( 200 \; g \) 作る。
このとき,カカオ含有率 \( 30% \) のチョコレートの重さを \( x \; g \) ,カカオ含有率 \( 70% \) のチョコレートの重さを \( y \; g \) として連立方程式をつくり,カカオ含有率 \( 30% \) のチョコレートの重さと,カカオ含有率 \( 70% \) のチョコレートの重さをそれぞれ求めなさい。

【解答】
連立方程式
\( \left\{ \begin{array}{}
\dfrac{3}{10}x+\dfrac{7}{10}y=80 \\
x+y=200
\end{array} \right. \)
\( 30% \) のチョコレートの重さ ・・・ \( 150 \; g \)
\( 70% \) のチョコレートの重さ ・・・ \( 50 \; g \)
【解説】
カカオ含有率を求める式をカカオの重さを求める式に変形すると,
\( カカオの重さ=\dfrac{カカオ含有率(%)}{100} \times チョコレート全体の重さ \)
となるので,
カカオ含有率 \( 30% \) のチョコレート \( x \; g \) に含まれるカカオの重さは,
 \( \dfrac{30}{100} \times x=\dfrac{3}{10}x \; (g) \)
カカオ含有率 \( 70% \) のチョコレート \( y \; g \) に含まれるカカオの重さは,
 \( \dfrac{70}{100} \times y=\dfrac{7}{10}y \; (g) \)
カカオ含有率 \( 40% \) のチョコレート \( 200 \; g \) に含まれるカカオの重さは,
 \( \dfrac{40}{100} \times 200=80 \; (g) \)
と表すことができます。ここから,カカオの重さの関係を表す方程式は,
 \( \dfrac{3}{10}x+\dfrac{7}{10}y=80 \) ・・・ ➀

チョコレートの重さを表す方程式は,\( x+y=200 \) ・・・ ➁ なので,
①➁を連立方程式として解くと,\( x=150,y=50 \) となります。

 

大問4

(1) 図のように,半径 \( 6 \; cm \) で中心角 \( 60° \) であるおうぎ形を \( A \),半径 \( 6 \; cm \) で弧の長さが \( 6 \; cm \) であるおうぎ形を \( B \),一辺の長さが \( 6 \; cm \) の正三角形を \( C \) とする。

\( A,B,C \) の面積について,次の  a  b  にあてはまる語句の組み合わせとして正しいものを,下のから1つ選び,記号で答えなさい。

・\( A \) の面積よりも \( B \) の面積の方が  a 
・\( A \) の面積よりも \( C \) の面積の方が  b 

  a :大きい   b :大きい
  a :大きい   b :小さい
  a :小さい   b :大きい
  a :小さい   b :小さい

【解答】

【解説】

【\( A \) と \( B \) の面積の比較】
\( A \) の弧の長さは,\( 2\pi{} \times 6 \times \dfrac{60}{360}=2\pi{} \; (cm) \)
\( 2\pi{}≒2 \times 3.14=6.28 \; (cm) \) なので,
\( B \) の弧の長さは\( A \) より短くなっています。
弧の長さと中心角の大きさは比例するので,
\( B \) の中心角は\( A \) より小さくなっています。
おうぎ形の面積は,\( 2\pi{} \times 半径 \times \dfrac{中心角}{360} \)
で求められるので,半径が等しいとき,
おうぎ形の面積は中心角に比例します。

よって,\( A \) の面積よりも \( B \) の面積の方が 小さい

【\( A \) と \( C \) の面積の比較】
\( C \) は一辺の長さが \( 6 \; cm \) の正三角形なので,
内角はすべて \( 60° \) であり,\( A \) のおうぎ形から斜線部分を取り除いた形になっています。

よって,\( A \) の面積よりも \( C \) の面積の方が 小さい

 

(2) ある店では,1個 \( 400 \) 円のMサイズのカステラと1個 \( 1600 \) 円のLサイズのカステラを販売している。この店で販売しているカステラを直方体とみなしたとき,Lサイズのカステラは,Mサイズのカステラの縦の長さ,横の長さ,高さをすべて \( \dfrac{5}{3} \) 倍したものになっている。
\( 1600 \) 円でMサイズのカステラを4個買うのと,\( 1600 \) 円でLサイズのカステラを1個買うのとでは,どちらが割安といえるか。説明しなさい。
ただし,同じ金額で買えるカステラの体積が大きい方が割安であるとする。

【解答&解説】
同じ \( 1600 \) 円で,Mサイズのカステラを4個またはLサイズのカステラを1個買えるので,
Mサイズのカステラを4個とLサイズのカステラを1個の体積を比較します。

Mサイズのカステラの縦の長さを \( L \),
横の長さを \( W \),高さを \( H \) とすると,
Lサイズのカステラの縦の長さは \( \dfrac{5}{3}L \),
横の長さは \( \dfrac{5}{3}W \),高さは \( \dfrac{5}{3}H \)
と表すことができます。

このとき,Mサイズのカステラの体積は \( LWH \) と表せるので,4個分の体積は \( 4LWH \) になります。
また,Lサイズのカステラの体積は \( \dfrac{5}{3}L \times \dfrac{5}{3}W \times \dfrac{5}{3}H=\dfrac{125}{27}LWH=4\dfrac{17}{27}LWH \)
よって,Lサイズのカステラ1個の体積はMサイズのカステラを4個分より大きいので,
Lサイズのカステラ1個を買う方が割安になっています。

 

大問5

Tさんが通う中学校では,毎年10月に各生徒の1週間の総運動時間(授業等を除く)を調査している。図は,その調査のうち,Tさんが所属する学年の生徒50人について,令和2年,令和3年,令和4年の各データを箱ひげ図に表したものである。

次の(1) ,(2)に答えなさい。

(1) 図から読み取れることとして正しいものを,次のから1つ選び,記号で答えなさい。

 すべての年で,1週間の総運動時間の最小値は30分となっている。
 1週間の総運動時間の四分位範囲は年々小さくなっている。
 すべての年で,1週間の総運動時間が100分以上の人は25人以上いる。
 令和4年の1週間の総運動時間が150分以上の人数は,令和2年の1週間の総運動時間が210分以上の人数の2倍である。

【解答】

【解説】
・・・ 令和4年の最小値は10分
・・・ 令和3年の四分位範囲が最も大きい
    令和2年の四分位範囲 \( =210-100=110 \) (分)
    令和3年の四分位範囲 \( =180-60=120 \) (分)
    令和4年の四分位範囲 \( =150-60=90 \) (分)
・・・ 生徒数が50人ということは,第二四分位数(中央値)以上のデータの人が25人います。
    すべての年で,第二四分位数(中央値)は100分以上になっています。
・・・ 令和4年の第三四分位数は150分,令和2年の第三四分位数は210分なので,人数は同じ。

 

(2) Tさんは,図を見て,運動時間を増やしたいと考え,週に1回運動をする企画を立てた。そこで,種目を決めるためにアンケートを行い,その結果から人気のあった5種目をあげると,表のようになった。ただし,表の●は球技を表すものとする。
表の5種目の中から2種目を選ぶため,➀,➁,➂,➃,➄ の番号が1つずつかかれた5枚のくじを用意し,次の選び方Aと選び方Bを考えた。

選び方A
・1つの箱を用意し,5枚のくじを入れる。
・箱の中のくじをよくかきまぜ,同時に2枚のくじを引く。

選び方B
・2つの箱を用意し,くじをグラウンドの種目と体育館の種目に分け,それぞれの箱に入れる。
・箱の中のくじをよくかきまぜ,それぞれの箱から1枚ずつくじを引く。

選んだくじが2枚とも球技である確率は,選び方Aと選び方Bではどちらが高いか。それぞれの選び方での確率を求めるまでの過程を明らかにして説明しなさい。

【解答&解説】
【選び方Aの場合】
選んだくじの組み合わせを樹形図で表し,2枚とも球技になる組み合わせに をつけると,
すべての組み合わせが10通り,2枚とも球技になるのは3通りなので,
確率は \( \dfrac{3}{10} \)

【選び方Bの場合】
選んだくじの組み合わせを樹形図で表し,2枚とも球技になる組み合わせに をつけると,
すべての組み合わせが6通り,2枚とも球技になるのは2通りなので,
確率は \( \dfrac{2}{6}=\dfrac{1}{3} \)

よって,選んだくじが2枚とも球技である確率は,選び方Bの方が高い。

 

大問6

Tさんは道路を走る車のナンバープレートを見て,自然数について考えた。次の(1) ,(2)に答えなさい。

(1) Tさんは図1のようなナンバープレートを見て,「2けたの数 \( 71 \) から2けたの数 \( 17 \) をひいた式」と読み,「 \( 71-17=54 \) 」になると考えた。また,\( 17 \) が \( 71 \) の十の位の数と一の位の数を入れかえた数であることに気づき,次のような問題をつくった。


問題
2けたの自然数には,その数から,その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数をひくと \( 54 \) となるものがいくつかある。このような2けたの自然数のうち,最大の自然数を答えなさい。


問題の答えとなる自然数を求めなさい。

【解答】
\( 93 \)
【解説】
2けたの自然数を \( 10a+b \) とすると,
十の位の数と一の位の数を入れかえた数は \( 10b+a \) と表すことができるので,
 \( (10a+b)-(10b+a)=54 \)
        \( 9a-9b=54 \)
        \( 9(a-b)=54 \)
          \( a-b=6 \)
2けたの自然数ということは,十の位の数は \( 0 \) にはならないので,
 \( 0<a≦9,0≦b≦9 \)
これを満たす \( a,b \) の組み合わせは,
 \( (a,b)=(9,3),(8,2),(7,1),(6,0) \)
十の位の数の数字が最も大きいとき,2けたの自然数も最大になるので,
あてはまるのは,\( (a,b)=(9,3) \)

 

(2) 後日,Tさんは図2のようなナンバープレートを見て,連続する4つの偶数について,次のように考えた。


連続する4つの偶数のうち,小さい方から3番目と4番目の偶数の積から1番目と2番目の偶数の積をひく。例えば,連続する4つの偶数が,
 \( 2,4,6,8 \) のとき,
 \( 6×8-2×4=48-8=40=8×5 \) ,
 \( 4,6,8,10 \) のとき,
 \( 8×10-4×6=80-24=56=8×7 \) ,
 \( 6,8,10,12 \) のとき,
 \( 10×12-6×8=120-48=72=8×9 \) となる。


Tさんはこの結果から,次のように予想した。


予想
連続する4つの偶数のうち,小さい方から3番目と4番目の偶数の積から1番目と2番目の偶数の積をひいた数は,8の倍数である。


Tさんは,この予想がいつでも成り立つことを次のように説明した。次の      に式や言葉を適切に補い,Tさんの説明を完成させなさい。


説明
\( n \) を自然数とすると,連続する4つの偶数は \( 2n,2n+2,2n+4,2n+6 \) と表される。これらの偶数のうち,小さい方から3番目と4番目の偶数の積から1番目と2番目の偶数の積をひいた数は,

\( (2n+4)(2n+6)-2n(2n+2)= \)

したがって,連続する4つの偶数のうち,小さい方から3番目と4番目の偶数の積から1番目と2番目の偶数の積をひいた数は,8の倍数である。


【解答】
\( (2n+4)(2n+6)-2n(2n+2)=(4n^2+20n+24)-(4n^2+4n) \)
                 \( =16n+24 \)
                 \( =8(2n+3) \)

\( n \) は自然数なので,\( 2n+3 \) も自然数である。
よって,\( 8(2n+3) \) は8の倍数である。

 

大問7

(1) 図1のように,\( AC=BC \) の直角二等辺三角形 \( ABC \) があり,辺 \( BC \) の \( C \) の方に延長した半直線 \( BC \) をひく。 \( AC=2 \) としたとき,半直線 \( BC \) 上にあり、\( BP=1+\sqrt{5} \) となる点 \( P \) を定規とコンパスを使って作図しなさい。ただし,作図に用いた線は消さないこと。

【解答・解説】

手順1 点 \( B,C \) を中心に同じ半径の弧を描く
(交点を点 \( E,F \) とします)
手順2 点 \( E,F \) を通る直線を描く
(半直線 \( BC \) との交点を点 \( D \) とします)
手順3 点 \( D \) を中心に線分 \( AD \) を半径とする弧を描く

手順3の弧と半直線 \( BC \) との交点が点 \( P \) になります。

方針

線分 \( BC \) の中点を点 \( D \) とすると,
\( △ADC \) は,\( AC=2,CD=1 \) の直角三角形なので,
三平方の定理より,\( AD=\sqrt{2^2+1^2}=\sqrt{5} \)

点 \( D \) を中心に線分 \( AD \) を半径とする弧を描き,
半直線 \( BC \) との交点を点 \( P \) とすると,
\( DP=AD=\sqrt{5} \) なので,
\( BP=BD+DP=1+\sqrt{5} \)

 

(2) 図2のように,\( AC=BC \) の直角二等辺三角形 \( ABC \) があり,辺 \( AC \) の延長上に,線分 \( CD \) の長さが辺 \( AC \) の長さより短くなる点 \( D \) をとる。また,点 \( A \) から線分 \( BD \) に垂線 \( AE \) をひき,線分 \( AE \) と辺 \( BC \) の交点を \( F \) とする。このとき,\( AF=BD \) を証明しなさい。

【解答・解説】

\( △AFC \) と \( △ADE \) において,
仮定より,\( ∠ACF=∠AED=90° \) ・・・ ➀
\( ∠A \) は共通 ・・・ ➁
➀➁より,2組の角がそれぞれ等しいので,
\( △AFC \) ∽ \( △ADE \)
対応する角は等しいので,\( ∠AFC=∠ADE \) ・・・ ➂

\( △AFC \) と \( △BDC \) において,
仮定より,\( AC=BC \) ・・・ ➃
3点 \( A,C,D \) は一直線上にあるので,
\( ∠ACF=∠BCD=90° \) ・・・ ➄
三角形の内角の和は \( 180° \) なので,
\( ∠FAC=180°-(∠AFC+∠ACF) \) ・・・ ⑥
\( ∠DBC=180°-(∠BDC+∠BCD) \) ・・・ ⑦
➂➄➅⑦より,\( ∠FAC=∠DBC \) ・・・ ⑧
➃➄⑧より,1組の辺とその両端の角が等しいので,
\( △AFC \) ≡ \( △BDC \)
対応する辺は等しいので,\( AF=BD \)

 

大問8

(1) 図1において,直線 \( l \) は,\( a<0 \) である関数 \( y=ax-1 \) のグラフである。直線 \( l \) と同じ座標軸を使って,関数 \( y=bx-1 \) のグラフである直線 \( m \) をかく。\( a<b \) のとき,図1に直線 \( m \) をかき加えた図として適切なものを,下のから1つ選び,記号で答えなさい。

【解答】

【解説】

\( y=ax-1 \) と \( y=bx-1 \) は切片の値が等しいので,
のうち,切片が等しくなっているのは

次に傾きの大きさを考えると,
直線 \( m \) も右下がりの直線なので,\( b<0 \) であるとわかります。
右下がりの直線では,傾きの値が大きいほど水平に近い直線に
なるので,\( a<b \) より,直線 \( m \) の方が水平に近くなります。

よって,あてはまるのは

例として,\( y=-x \) と \( y=-\dfrac{1}{2}x \) のグラフを書いてみます。
\( -1<-\dfrac{1}{2} \) であり,傾きの値が大きいほど水平に近い直線になっています。

 

(2) 図2のように,関数 \( y=x^2 \) のグラフ上に2点 \( A,B \) があり,それぞれの \( x \) 座標が \( -3,1 \) である。また,四角形 \( ACBD \) は,線分 \( AB \) を対角線とし,辺 \( AD \) と \( x \) 軸が平行であり,辺 \( AC \) と \( y \) 軸が平行である長方形である。このとき,長方形 \( ACBD \) の面積を2等分し,傾きが \( \dfrac{1}{2} \) である直線の式を求めなさい。

【解答】
\( y=\dfrac{1}{2}x+\dfrac{11}{2} \)

【解説】
長方形(平行四辺形)には,対角線の中点を通る直線で2つに分けると,2等分される性質があります。
つまり,線分 \( AB \) の中点を通り,傾きが \( \dfrac{1}{2} \) である直線の式を求めればいいことになります。

点 \( A \) の \( y \) 座標は,\( y=(-3)^2=9 \)
点 \( B \) の \( y \) 座標は,\( y=1^2=1 \)
なので,線分 \( AB \) の中点の座標は \( \left( \dfrac{-3+1}{2},\dfrac{9+1}{2} \right)=(-1,5) \) になります。

求める直線の式を \( y=\dfrac{1}{2}x+b \) とし,\( x=-1,y=5 \) を代入すると,
 \( 5=\dfrac{1}{2} \times (-1)+b \)
 \( b=\dfrac{11}{2} \)

よって, 求める直線の式は,\( y=\dfrac{1}{2}x+\dfrac{11}{2} \)

平行四辺形が対角線の中点を通る直線で2等分されるのはなぜ?

平行四辺形 \( ABCD \) において,対角線の交点を点 \( O \) とすると,
対角線はそれぞれの中点で交わるので,\( BO=DO \) ・・・ ➀
平行四辺形の向かい合う辺は平行であり,錯角は等しいので,
\( ∠OBF=∠ODE \) ・・・ ➁
対頂角は等しいので,\( ∠BOF=∠DOE \) ・・・ ➂
➀➁➂より,1組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので,
\( △OBF≡△ODE \)
同様に,\( △OAE≡△OCF,△OAB≡△OCD \) も成り立っています。
つまり,右の図で赤・青・緑の2つの三角形はそれぞれ面積が等しくなっています。

右の図で,平行四辺形 \( ABCD=2( \)赤+青+緑\( ) \),
四角形 \( ABFE= \) 赤+青+緑,四角形 \( EFCD= \) 赤+青+緑 なので,
四角形 \( ABFE= \) 四角形 \( EFCD \) になります。

 

大問9

(1) Tさんが自宅から公園まで,毎時 \( 4 \; km \) の速さで歩くと,到着するまでにかかった時間は \( 30 \) 分であった。Tさんが自宅から公園まで同じ道を,自転車に乗って毎時 \( a \; km \) の速さで移動するとき,到着するまでにかかる時間は何分か。\( a \) を使った式で表しなさい。ただし,Tさんが歩く速さと,自転車に乗って移動する速さはそれぞれ一定であるとする。

【解答】
\( \dfrac{120}{a} \) 分
【解説】
毎時 \( 4 \; km \) の速さで歩いたとき,\( 30 \) 分 \( =\dfrac{30}{60}=\dfrac{1}{2} \) 時間 かかったので,
自宅から公園までの距離は,\( 4 \times \dfrac{1}{2}=2 \; (km) \)

\( 2 \; km \) の距離を毎時 \( a \; km \) の速さで移動するとき,かかる時間は,
 \( 2 \div a \) 時間 = \( 2 \div a \times 60=\dfrac{120}{a} \) 分

 

(2) この公園の地面は平らで,図1のような四角形 \( ABCD \) の形をしている。四角形 \( ABCD \) は、\( AD=CD,AB=10 \; m \),\( BC=20 \; m,∠ABC=90° \) であり,面積は \( \dfrac{800}{3} \; m^2 \) である。
この公園に街灯が設置されていなかったので,Tさんは街灯を設置したいと思い,次のように仮定して考えることにした。

仮定
・ 図2のように,街灯は四角形 \( ABCD \) の対角線 \( AC \) の中点 \( M \)
  に1本だけ設置し,公園の地面全体を照らすようにする。
・ 街灯は地面に対して垂直に立て,街灯の先端に光源があるものとす
  る。
・ 街灯の高さは光源から地面までの距離とし,自由に変えられるもの
  とする。
・ 街灯が照らすことのできる地面の範囲は,街灯の根元を \( O \) とした
  とき,\( O \) を中心とする円の周上及び内部とし,その円の半径は街灯
  の高さに比例することとする。
・ 図3のように,街灯の高さが \( 2 \; m \) のとき,\( O \) を中心とする半径
  \( 10 \; m \) の円の周上及び内部を照らすことができるものとする。


    は街灯が照らすことのできる地面の範囲を表している。

この仮定に基づいて,街灯を設置するとき,その高さは最低何 \( m \) 必要か。求めなさい。

【解答】
\( \dfrac{4\sqrt{5}}{3} \; m \)
【解説】
街灯の高さを決めるために,まず,点 \( M \)  からもっとも遠い場所とその距離を求めます。

\( △ABC \) において,三平方の定理より,
 \( AC^2=10^2+20^2=500 \)
  \( AC=10\sqrt{5} \; (m) \) (\( AC>0 \)より)
\( △ABC \) の面積は,
 \( △ABC=20 \times 10 \times \dfrac{1}{2}=100 \; (m^2) \)
\( △ACD \) の面積は,
 \( \dfrac{800}{3}-100=\dfrac{500}{3} \; (m^2) \)

点 \( M \) から線分 \( BC \) に垂線をひき,交点を点 \( N \) とすると,点 \( M \) は対角線 \( AC \) の中点なので,
\( △ABC \) ∽ \( △MNC \),相似比 \( 2:1 \) になっています。
つまり,点 \( N \) は線分 \( BC \) の中点になります。
このとき,\( BN=CN,MN \)共通,\( MN⊥BC \) より,
\( △BMN≡△CMN \) なので,\( BM=CM \)

よって,\( AM=BM=CM=5\sqrt{5} \; (m) \)

\( △ACD \) において,\( AD=CD,AM=CM \) より,\( DM⊥AC \)
 \( △ACD=AC \times DM \times \dfrac{1}{2} \)
   \( \dfrac{500}{3}=10\sqrt{5} \times DM \times \dfrac{1}{2} \)
   \( DM=\dfrac{20\sqrt{5}}{3} \; (m) \)

よって,点 \( M \) からもっとも遠いのは点 \( D \) になります。

ここから,\( \dfrac{20\sqrt{5}}{3} \; m \) までを照らすことができる街灯の高さを求めます。

図3より,街灯の高さと照らせる範囲の半径の比は \( 1:5 \) なので,
街灯の先端を点 \( L \) とすると,
  \( LM:DM=1:5 \)
 \( LM:\dfrac{20\sqrt{5}}{3}=1:5 \)
     \( 5LM=\dfrac{20\sqrt{5}}{3} \)
     \( LM=\dfrac{4\sqrt{5}}{3} \; (m) \)